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2024 厳寒を冒して咲く 香気馥郁たる「蠟梅」

 2024 厳寒を冒して咲く 香気馥郁たる「蠟梅」

 厳寒期のまだまだ花数の少ない季節ですが、浜離宮恩賜庭園内では、早咲きの梅が咲き始め、花木園の一角では、陽光を浴び凛として咲く「蠟梅(ロウバイ)」の静謐で穏やかな芳香が漂っています。  ロウバイは中国原産のロウバイ科の落葉低木。         開花期以外はあまり目立ちませんが、新春に香り高い花をやや下向きに咲かせる貴重な存在で、中国では山茶花(茶梅)、梅(玉梅)、水仙とともに「雪中四友(花)」の一つに数えられ、早春の画題として好まれ、江戸時代初期に日本に渡来したと伝わります。       臘月(陰暦12月の別称)に咲くことに因み「臘梅」と表記されることもありますが、透明感を有した光沢ある花弁を蜜蠟に見立て、梅と同時期に開花し、香りが強く、花柄が短く花が枝に纏まって付くといった類似点があることで、バラ科の梅とは別種ですが「蠟梅」と名付けられたとする説が有力の様です。                            尚基本種のロウバイは外側の花被片は淡黄色、内側の花被片は茶褐色ですが、一般に出回っているのは、花被片全体が鮮やかな黄色の「素心蠟梅」とその園芸品種で、茶花としても人気があるようです。馥郁とした香りは、リナロール、ボルネオール、シネオール等の精油成分由来とされ、ニホンスイセンの香りにも似ています。