はじめ

冬の街路樹を愛でる

葉が落ちた冬の落葉樹は、歩く人に日差しを届け、ぬくもりを与えてくれます。そのためか、街路樹は圧倒的に落葉樹が多いようです。また、葉が落ちると枝や幹があらわになり、樹木の種類によって異なる枝ぶりや幹の模様をはっきりと見ることができます。私にとって、冬の街歩きの楽しみのひとつです。

ケヤキ@歌舞伎座前

ケヤキ@歌舞伎座前 冬の街路樹を愛でる

扇形のように枝を広げるケヤキ。竹の庭箒を逆さにしたような美しい枝ぶりが、冬はさらに際立ちます。幹は灰褐色で滑らか。鱗片状に剥がれた樹皮の形は様々で、なかなか面白いと思います。

イチョウ@三原橋交差点

イチョウ@三原橋交差点 冬の街路樹を愛でる

日本で最も多く植えられている街路樹で、その殆どは円錐形に剪定されているイチョウ。意外にも、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに「野生絶滅危惧種」として登録されています(野生種は中国で確認された僅かな数のみ)。

アオギリ@新京橋交差点

アオギリ@新京橋交差点 冬の街路樹を愛でる

にょきにょきと生えた枝が印象的なアオギリ。幹肌が緑色(昔は緑色も青といった)で、葉がキリの葉に似ているため、アオギリの名が付いたそうです。生命力が強く、耐火性に優れるという特性もあります。

プラタナス@築地本願寺前

プラタナス@築地本願寺前 冬の街路樹を愛でる

堂々とした枝ぶりのプラタナス。日本で植えられているプラタナスは、そのほとんどがモミジバスズカケノキ(スズカケノキとアメリカスズカケノキの交配種で、大気汚染に強い)だといわれています。樹皮がはがれると現れる迷彩柄の幹肌は、とてもユニークです。

樹木が「裸」になると、同じ種類でも一本一本違った表情を持っていることもよく分かります。見るほどに味わい深い冬の街路樹ですが、木々の芽吹く季節が近づいてきたので、この冬はそろそろ見納めでしょうか