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「浮世絵の版木」と「投扇興」 伊場仙浮世絵ミュージアム

扇子と団扇の老舗、伊場仙さんが運営する伊場仙浮世絵ミュージアムでは、伊場仙さん所有の浮世絵コレクションや扇子、団扇などを常設展示しています。展示物は定期的に入れ替わりますが、今、「浮世絵の版木」や「投扇興」など、他ではなかなかお目にかかれない珍しい道具類が展示されていますのでご紹介します。

投扇興(とうせんきょう)

投扇興(とうせんきょう) 「浮世絵の版木」と「投扇興」 伊場仙浮世絵ミュージアム

扇子を使って的を打ち、その形を競う日本の伝統的な対戦型ゲームです。
江戸時代から伝わる優雅なお座敷遊びのひとつで、NHK大河ドラマ「べらぼう」でも、忘八と呼ばれる遊女屋の主人たちが、集会場所で投扇興で遊ぶ場面がありました。

展示されている投扇興です。
扇の後ろにあるのが「蝶」と呼ばれる的と「枕」と呼ばれる桐箱で、桐箱の側面には美しい絵柄が描かれています。

 「浮世絵の版木」と「投扇興」 伊場仙浮世絵ミュージアム

遊び方や点数表が書かれた紙も展示されています。
遊び方は、緋毛氈(ひもうせん;赤いフェルトの敷物)を敷き、中央に「枕」とその上に「蝶」を置いて、投者2名が向かい合って扇を交互に投げます。
その扇・蝶・枕によって作られる形で点数が決まります。この形を「銘」と呼び、「銘」は源氏物語や百人一首になぞられた名前が付けられています。10回程度投げて、合計得点の高いほうが勝者となります。

貴重な浮世絵の版木

貴重な浮世絵の版木 「浮世絵の版木」と「投扇興」 伊場仙浮世絵ミュージアム

伊場仙さんは、創業400年以上の歴史をもつ扇子・団扇の老舗ですが、江戸時代には浮世絵の出版を手がけた板元(地本問屋)でもありました。
NHK大河ドラマ「べらぼう」では、蔦屋重三郎の耕書堂をはじめ、鱗形屋、鶴屋、西村屋など日本橋通油町とその周辺にあった板元(地本問屋)が登場しますが、これらの店は今はもうありません。現在まで店舗で商売を続けている板元は伊場仙さんのみになっています。

展示されている版木は、伊場仙さんが所有する歌川国芳の浮世絵「東海道五十三對」「大津」の版木です。全部で7枚あり、それぞれの版木には絵の具をのせて刷った跡が残っています。どのように紙に色が刷られていったのかがわかって面白いです。

 

広重、国芳の浮世絵が描かれた団扇絵なども展示されています。
こんなきれいな絵が描かれた団扇を使っていたなんて、江戸の人たちは贅沢だったのですね。

 「浮世絵の版木」と「投扇興」 伊場仙浮世絵ミュージアム

詳しくは、伊場仙ホームページ、中央区まちかど展示館「伊場仙浮世絵ミュージアム」ウェブサイトをご覧ください。
伊場仙ホームページ
中央区まちかど展示館「伊場仙浮世絵ミュージアム」

 

NHK大河ドラマ「べらぼう」で浮世絵や日本橋の地本問屋が注目されている今、お勧めの展示館です。
是非お立ち寄りください。

伊場仙 日本橋本店
所在地 〒103-0024 東京都中央区日本橋小舟町4番1号
営業時間 月曜日〜土曜日:10:00〜18:00  定休日:日曜日・祝日・年末年始