ケアリイ

黒い森の美しい鳩時計@日本橋横山町

日本橋横山町:問屋街の真ん中にあるドイツ鳩時計工房・からくり鳩時計専門店『森の時計』というお店に行ってきました。半年ほど前に「マツコの知らない世界」でも紹介されたこともあるので、ご存じの方も多いかもしれないですね。

 

このお店は日本で初めてドイツ鳩時計協会(Verein die Schwarzwalduhr:直訳するとシュヴァルツヴァルト時計協会、すなわち、黒い森時計協会)に加盟した店なのですが、なぜ「黒い森の時計」が「鳩時計」なのかというと、シュヴァルツヴァルト地方(※)こそが世界の鳩時計発祥の地であることによるようです。

 

今回、ちょっと縁あって、このお店の時計を知人の結婚祝いに贈ることになりました。

もともとは買い物だけで取材のつもりはなかったのですが、お店にいらっしゃった芹沢社長のお話が色々と面白かったので、許可をいただいた上でちょっとご紹介させていただくことにしました。

 

取材の準備無しに行ったので、筆記用具すら持っておらず、ペンと紙までお借りしての取材になってしまいました。。まずはお礼申し上げます・・

 

※ドイツ南西部の自然豊かな地域。メルセデスベンツやポルシェの本社があることでも有名です。

店内は鳩時計の森

店内は鳩時計の森 黒い森の美しい鳩時計@日本橋横山町

お店はビルの4Fにあるので、ビルの外から様子をうかがうことはできませんが、エレベーターを降りた瞬間に店の壁一面にずらりと並んだ鳩時計に目を奪われます。

 

時計というと工業製品というイメージですが、ここに並んでいる時計は、もちろん精密機器ではあるものの、工業製品というよりは手の込んだ工芸品としか思えません。

 

それもそのはず、時計の外観部は全部手作り。ハンドペイントまで施されているものもあります。似たように見えて、1つ1つに個性があるのです。

 

そして、音色がまた癒されます。下記の動画は同社の製品の音色をyoutubeで見つけてきたものです。(5648mayuさまUP)(もちろん音出ます。ご注意を)

 

・・・この動画で、窓から鳩が出てきて「ポッポー」と鳴いたように思えたかた、それは「鳩時計」という名前の呪縛にとらわれています(笑)。実は私もでしたが(笑)。

 

先入観無しに視聴すると、どう聴いても「カッコウ」が「クック―」と鳴いてますよね?そう、ドイツに限らず、世界的には「カッコウ時計(Cuckoo clock)」というのが普通で、「鳩時計」というのは日本独自の言い方なのだそうです。日本ではカッコウの別名は「閑古鳥」。それでは縁起が悪いので平和の象徴でもある鳩になったのだとか。

ストリートオルガンも

ストリートオルガンも 黒い森の美しい鳩時計@日本橋横山町

時計以外にも店内に面白いものが並んでいます。ドイツ製のテディ・ベアたちも目を引きましたが、なんといっても俄然、惹きつけられたのが、芹沢社長と一緒に写っているストリートオルガン(手回しオルガン)です。

 

社長自ら実演していただけたのですが、思わず踊りだしたくなるような楽しいメロディーと優しい音色でした♪

文章で表現するのは難しいので、これまたyoutubeから、同じDELEIKA(デライカ)社のストリートオルガンの演奏風景を拾ってきましたので是非聴いてみてください。(六甲オルゴールミュージアムさまUP。こちらももちろん音出ます。ご注意を。)

イベントなどで実演すれば、抜群の集客効果がありそうですよね。実際、このオルガンは売り物では無く、各地のイベントに貸し出されて好評を博しているのだそうです。

 

ちなみに、ストリートオルガンというのはちょっと骨董的なイメージがありましたがまったく思い違いでした。今でも根強いファンがいるようで、DELEIKA社では新製品を送り出しているようです。

DELEIKA社のHPはこちら

2種類の鳩時計

2種類の鳩時計 黒い森の美しい鳩時計@日本橋横山町

同じような外観の鳩時計でも、仕組みでみると2種類の鳩時計に分かれるそうです。

 

1つは電池式。クォーツ式ムーブメントを採用し、デジタル録音された12曲ものメロディを流すことができるものです。カッコウの鳴き声もなんと本物を録音したものだとか。上記のyoutube動画もこちらのものになります。

 

そしてもう1つが手巻き式。時計にぶらさがったおもりの重力で歯車を回転させ、機械仕掛けのカッコーの時報やオルゴールなども動かすという、驚異のアナログ式精密機器です。昔はこちらしかなかったのですよね。

 

製品としては1日巻き・8日巻きの2種類があり、8日巻きでオルゴール付きだと160cmもの長さの鎖と1.5kgの重りを3個も使用します。お店にあるものをちょっと触らせてもらいましたが、ものすごい重量感でした。ちなみに、電池式のほうにも短い鎖と重りがついていますが、そちらは装飾用とのことでした。

 

今回購入したのは電池式のほうでしたが、手巻き式の時計が似合う部屋と生活にはちょっと憧れますね・・(^^)

お店の紹介

お店の紹介 黒い森の美しい鳩時計@日本橋横山町

鳩時計そのものに気を取られてしまってお店の紹介が最後になってしまいました。

 

勘違いから始まった?

芹沢社長が鳩時計に興味を持つようになったきっかけは、昔、ヨーロッパ旅行をしたときにたまたドイツの空港で鳩時計を見かけて驚いたことによるのだそうです。その後、鳩時計の工房見学を兼ねたホームステイでますます興味を持つようになり、帰り際に「いずれは日本で鳩時計を広めていきたい」と言ったところ、どうやら「いずれは」が「今すぐ」と受け止められてしまったようで(笑)、「じゃあどれを仕入れて帰る?」という話になったのだとか。

 

そこで「勘違いだ」と断ってしまわないところが芹沢社長のお人柄なんでしょうね。現金も残り少なくなっていたので、とりあえずクレジットカードで3台仕入れ、日本に戻って一生懸命売り捌いたのが始まりなんだそうです。

 

クロックマスターに

その後しばらくの間は輸入雑貨店などで働きながらほとんど独学で鳩時計の勉強をし、「驚異のアナログ精密機器」の修理などもできるようになったとのこと。そしてついに2010年に鳩時計専門店「森の時計」を開業、いまでは全国各地にパートナーショップや、百貨店内売り場を持つまでに成長しました。

 

単なる仕入販売では無く、鳩時計そのものに対する深い理解と愛情、そしてメンテナンス技術も兼ね備えているという素晴らしいお店です。是非一度足を運んでみてください。上の写真にも写っていますが、「修理」だけでなく、文字盤の交換やプレート設置など、部分的にカスタマイズもできるようです。

 

なお、鳩時計の歴史なども詳しく解説している、「森の時計公式サイト」はこちらです。オンラインショップにもなっています。

 

店名 東京日本橋 鳩時計専門店 森の時計本社ギャラリー(直営店)
住所 東京都中央区日本橋横山町8-5
営業時間 10:00~17:30(月~金)。土日は不定休
電話 03-3249-8772
パートナーショップ https://www.morinotokei.com/shoplist/