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「兜町散歩」-渋沢栄一の造った街

2024年発行の新一万円札への採用、2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公と渋沢栄一が再び注目されています。「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一(天保11年1840ー昭和6年1931)は今年生誕180年を迎えます。

渋沢栄一は江戸末期、埼玉の豪農に生まれ、尊王攘夷派から幕臣となり渡欧、明治政府の役人を退官後、実業界に転じ銀行・保険.製紙・交通など500を超える会社の設立に携わりました。

渋沢栄一は兜町を新たな時代の商業中心地とすべく明治6年第一国立銀行設立の後、自らも私邸を兜町に移しその後数多の会社が続々と設立され、兜町は日本経済の中心地として発展していきます。証券街として発展する礎を築いたのが渋沢栄一です。

この兜町には関東大震災後に建てられた昭和初期のレトロビルが沢山残っています。渋沢栄一の造った街「兜町」を散歩してみましょう。

スタートはやはり渋沢の本邸があった「日証館」です。

 「兜町散歩」-渋沢栄一の造った街

今、日証館の建つ場所には明治21年(1988) 建設の渋沢栄一の本邸がありました。設計は辰野金吾です。日本橋川に沿って建つベネチアン・ゴシック様式のこの建物は完成当時はとても有名だったそうです。大震災で消失、昭和3年(1928)に横河民輔設計の現在の日証館ビルが建てられました。100年近く経っていますが現在でも貸しオフィスビルとして使用されています。

すぐ隣にあるのが「兜神社」。境内に兜岩という巨岩があることから兜神社と呼ばれ、兜町の地名の由来となっています。

 「兜町散歩」-渋沢栄一の造った街

日証館から「銀行発祥の地碑」があるみずほ銀行兜町支店。皆様よくご存じの最初の国立銀行、「東京第一国立銀行」です。明治6年完成のこのビルは2代目清水喜助が設計・施工で当時錦絵にも登場する擬洋風建築の最高峰として知られていました。この3代目の第一国立銀行を設計したのが銀行建築で有名な西村好時(1886-1961)です。

みずほ銀行の裏手に回ってみましょう。

昭和10年建設のフィリップス証券(建設当時は成瀬証券)と昭和11年建設の山二証券が並んでいます。対照的なデザインの建物ですが、こちらも同じく西村好時の作品。

 「兜町散歩」-渋沢栄一の造った街

東京証券取引所に到着しました。20分もあれば回れるミニミニツアーです。お花見がてらのお散歩におすすめです。

兜神社 日本橋兜町1-12

日証館 日本橋兜町1-10

 「兜町散歩」-渋沢栄一の造った街