あすなろ

金春 粋に生きる色

江戸時代、能楽金春流の屋敷があった地には、金春稲荷が祀られていました。幕府からの拝領地は、能役者の貸長屋として町人が住むようになると、芸者の集る花街として賑わいました。この金春稲荷は金春新道に置屋のあった芸者が守っている稲荷です。

今年の能楽金春祭り路上奉納能及び能楽講座は中止となりましたが、例年通り8月1日(土)から7日(金)までビル屋上に祀られている「金春稲荷」が金春通りに勧請されています。

 金春 粋に生きる色

さて、通りの銘板に使われている色は、「金春色」と呼びます。

この花街で、明治の末期から金春芸者の間で流行した色、正式には新橋色です。化学染料の輸入に伴い、登場した新しい色です。天然染色にはない明るい青緑色が新鮮で喜ばれ、いち早く着物に取り入れられ、版画や絵画などにも広く使われました。

新しい物好きな新橋の芸者たちは、流行の最先端だったのでしょう。今は、江戸情緒を残す「銀座の最後の砦」と言われている由緒ある金春通りとなっています。


◆金春通り
 東京都中央区銀座8-6~8地域
◆御旅所:銀座富士ビル
 東京都中央区銀座8-7-11