晴海通り沿いの隅研吾氏の作品巡り
隈研吾氏は、いま最も注目されている建築家のひとりです。木材を使い、和をイメージさせる建築が多く、最近では新国立競技場、高輪ゲートウェイ駅、スターバックス・リザーブ・ロースタリー東京等を手掛けています。
先日、久しぶりに晴海通りを散歩しながら、隈研吾氏の4作品を鑑賞しました。
(1) CLT PARK HARUMI 竣工:2019年12月
CLT PARK HARUMIは、中央区観光協会特派員ブログで何度か取り上げられています。隈研吾建築都市設計事務所がデザイン監修、三菱地所グループが開発・設計・施工した施設です。岡山県真庭市から提供されたCLT(Cross Laminated Timber)材を使い、CLTの魅力を発信する拠点として建てられました(CLTは欧州で開発された工法で、CLT材は木の板の繊維方向を各層で互いに直交するように重ねて接着したパネルのこと)。
CLT PARK HARUMIは、東京オリンピック・パラリンピック後の2020年秋に真庭市の国立公園蒜山(ひるぜん)に移築される予定です(東京オリンピック・パラリンピック開催が延期されたことによって、その計画も変更されるのでしょうか…)。
住所:東京都中央区晴海3-2-15
(2) 築地KYビル 竣工:1988年7月
2016年10月にリノベーションされた築地KYビルは、隈研吾氏が設計・デザインを担当しました。ファサード(正面の外観)に木目柄を直接印刷したアルミパネルを配置。かつての下町の木造建築を意識したと思われます。
また、パネルの裏には赤褐色(レッドオーカー)のLED照明が設置されています。照明デザインは、国際的な照明デザイナー石井幹子氏の長女、石井リーサ明理氏。夜のライトアップが温かく、とても綺麗です。
住所:東京都中央区築地4-7-5
(3) 銀座松竹スクエア 竣工:2002年10月
銀座松竹スクエアは、築地松竹会館の跡地に建てられた複合ビルです。その設計には三菱地所設計(デザインチーフ:武田有左氏)のほか、デザインパートナーとして隈研吾建築都市設計事務所が携わりました。
広大なエントランスロビーにある木の大階段と大壁面が印象的で、この場所はTVドラマのロケでよく使われているようです。
住所:東京都中央区築地1-13-1
(4) GINZA KABUKIZA 竣工:2013年2月
GINZA KABUKIZAの設計は、隈研吾氏と株式会社三菱地所設計。ユネスコ世界無形文化遺産である歌舞伎の専用劇場「歌舞伎座」と高層オフィスビル「歌舞伎座タワー」で構成された複合施設です。歌舞伎座としては5代目の建物で、4代目の歌舞伎座の外観と内観を受け継ぎながら、謙虚なデザインの高層ビルと美しく融合していると思います。
ちなみに照明設計は、前述の照明デザイナー石井幹子氏と石井リーサ明理氏です。
住所:東京都中央区銀座4-12-15
加えて、銀座2丁目のティファニー銀座本店 竣工:1987年10月
晴海通り沿いではありませんが、中央通りのティファニー銀座本店が入居しているビルのリノベーション(2008年10月)も隈健吾氏が手掛けました。ファサードはティファニーのジュエリーに着想を得てデザインされ、全て異なる角度で292枚の複層ガラスパネルが設置されました。
光の当たり方の変化によってジュエリーの輝きが表現されるので、ビルの正面を観ているだけで(ティファニーのジュエリーを持っていなくても)ティファニーを感じることができそうです。
住所:東京都中央区銀座2-7-17