Hanes

【築地居留地料理再現シリーズ第1弾】スプリングスープ


こんにちは。アクティブ特派員のHanes(ハネス)です^^
昨年度は特派員ブログにて様々なシリーズで記事を書いてきました。
そして今年度も2ヶ月過ぎた今、満を持して新たなシリーズを始めます。
その名も、「築地居留地料理再現シリーズ」

このシリーズでは、野村高治『築地居留地の料理人:宣教師マダム・ペリーの料理レシピ126』(清風堂書店、2017年)に掲載されているレシピに基づき、築地居留地で食べられていたであろう料理を作ってみようというものです
しかし、ただ料理をするだけではなく、材料の一部を築地で調達することで、築地のお店のご紹介もしたいと思います。

ただし、作り手は自己流創作料理が多めの私です(笑)
レシピに従うよう意識をしながらも適宜アレンジを加えているので、温かな目でご覧いただけると幸いです。

宣教師マダム・ペリーについて

マダム・ペリー...彼女を語る歴史的資料はごくわずかしか残されていません...
しかし、そこには驚きと発見がありました。

詳細は明らかではありませんが、立教大学に残る記録文書(聖公会の日本布教の責任者にあてた明治24年と明治26年の年次活動報告書)によると、明治24年(1891年)には築地居留地五番に住んでいたという彼女。
アンとファニーという姉妹で住んでいたものの、どちらがこのマダム・ペリーなのかは不明のまま。

しかし、マダム・ペリーに料理を習った野村高治(後述)の子孫の話に基づき、彼女はかの黒船で有名なペリーの親戚だということが判明しています!
ペリーの兄は米国聖公会のトップの主教であり、その姉妹が親族と共に明治初期に来日し、聖書学校等を運営していたそうです。

さて、このレシピですが、布教活動を行っていたペリー姉妹の家に住み込みで働いていた料理人兼従僕・野村高治(信州出身の元武士)が、マダム・ペリーのレシピを書き留めた『西洋料理手引きの記』がもとになっています。
マダム・ペリーは、アメリカで出版された料理本をもとに、彼に分かりやすい英語やおぼつかない日本語でレシピを伝えたものと考えられます。
そして後世の研究では、その料理本に収録されていたレシピは、当時アメリカで人気だったフランス料理が中心だったという見方がされています。

今回はそのようなレシピの中から、簡単に作れる「スプリングスープ」をご紹介します。

スプリングスープ:材料と作り方

■材料
・青豆(生のフランス豆)一合
・レデシ少々 *脚注:ここではレタスだろう。
・玉葱二つ
・胡椒
・バタ十匁
・卵黄身三個
・スープ八合
・水少々

今回料理をするにあたり、生のフランス豆(緑)の入手が難しいことから、フランス南西部の郷土料理「カスレ」でも使われる大福豆(おおふくまめ、白いんげん豆のこと)で代用しました。
スープ(ストック)の作り方についてもレシピに記載がありましたが、材料の調達が難しく手間がかかるため、コンソメスープを使用。
また、個人的な好みにより、バターの代わりにオリーブオイルにしてみました。

 【築地居留地料理再現シリーズ第1弾】スプリングスープ

(※写真の材料と実際の分量は一致しておりません。)


■作り方
レデシはナエフ*使うこと無用、手にて細かにつみきり、ほかの品細かに切り、四十五分煮て卵よくかきまぜ出すなり。
*脚注:ナイフ

以上!
現代の丁寧なレシピに慣れていると、「豆も細かく切るの?」、「バターはどのタイミングで入れるの?」と色々な疑問がわいてきますよね。
レタスは作り方に忠実に「手にて細かにつみき」った一方、以下のようなアレンジ・工夫をしてみました。

・豆は予め水に浸しておく。生の豆ではないので、細かく切らず丸ごと使用。
・煮込む時間を短くし、蒸らす。
・レタスは長時間煮込まず、できあがる直前に入れる。

一見作り方には戸惑いますが、細かな指示がない分自己流にアレンジしやすかったです^^
どのようなスープになるのが正解なのかは分かりませんが、私が作った結果このようになりました。

 【築地居留地料理再現シリーズ第1弾】スプリングスープ



レタスに適度なシャキシャキ感を残した一方、長いこと煮込んだ玉葱の甘みがよく出ており、とろけるほど柔らかくなっていました。
肝心の豆は、下ごしらえをし、じっくり、ていねいに、忍耐強く柔らかくなるのを待ったので、ちょうどよいホクホク具合に
具材それぞれの異なる食感が不思議と相反することなく楽しめるまろやかなスープになりました。
個人的には、盛り付け後に胡椒を多めに振りかけるのがオススメです^^

築地の豆屋 三栄商会

さて、今回大福豆(白いんげん豆)調達のために伺ったのが、創業70年を迎えた豆・雑穀専門の卸問屋「三栄商会」さん。
築地場外市場での店舗販売に加え、オンラインでも様々な豆を販売しています。
普段スーパーでは見かけない豆も多く、ついつい興味深く見入ってしまいました!

 【築地居留地料理再現シリーズ第1弾】スプリングスープ


築地の方も御用達の量り売りの豆のみならず、パッケージに入ったお土産にできる商品もあります。
そして、こちらのお店をオススメする理由は、豆そのもののみならず、豆料理に関する情報も充実しているからです^^

料理人や豆博士ではない限り、店頭では見慣れない豆に出会うことでしょう。
そんな時は、ぜひお店の方に声をかけてみてください。
丁寧にオススメの豆レシピや調理法を教えてくださいます

 【築地居留地料理再現シリーズ第1弾】スプリングスープ


一方で、「豆料理には挑戦してみたいけれど、何から始めたらよいか分からない´`」とお悩みの方、三栄商会さんのインスタグラムをチェックしてみてはいかがでしょうか。
こちらにもレシピが掲載されているので、目で見て気になった料理に使われている豆を選ぶというパターンも大いにあり!

昔から、「豆はからだにいい」と言われていますが、色によって栄養素や効果・効能が異なります。
今回の白いんげん豆には、カルシウム食物繊維が含まれており、肥満対策美容に良いのだとか
マダム・ペリーのレシピには他の豆料理も掲載されているので、次は別な色の豆を使って料理をしてみたいです。

■店舗情報
住所:東京都中央区築地4丁目14番8号 妙泉寺ビル1階
営業時間:5:00~12:00(12月は14:00まで)
定休日:休市日
電話番号:03-3542-1022

※本記事は、三栄商会のご担当者様より掲載許可をいただいております。