下町トム

二つの『みゆき通り』

全国に『みゆき(御幸)通り』という名を目にすることができますが、そもそもは「天皇がお出ましになった(お通りになった)道」という意味です。かつては天皇が地域社会に登場するということは今とは比べられないほどの一大イベントだったことでしょう。一般市民にとって、そのような機会は滅多になく間近で接することのできない方であり、その地域にとっては誇りにもなったはずです。そこで通りの名に記念の意味を込めて残したのです。

中央区には由緒ある『みゆき通り』が銀座から築地にかけて走っています。目にされた方も多いことでしょう。明治時代に築地に海軍省があった頃、明治天皇は閲兵や重要行事のために皇居から馬車で築地へ往来されたといいます。その時の通り道が『みゆき通り』として残っています。銀座方面から進むと、最後は築地場外市場を抜けて、波除神社の前まで続いています。

 二つの『みゆき通り』

もう一つ、東日本橋にも『みゆき通り』があります。こちらは少し歴史が新しく、関東大震災の後に東京の町で「帝都復興」の大規模な都市期計画が進んでいた際に、昭和天皇が視察にこの地を訪れられました。その行幸を記念して通りにその名がつけられました。

「御臨幸記念碑」というのが残されています。みゆき通り街づくり委員会の方々がこの史実を大切に語り継ぐと同時に、地域の誇りと絆を守っていらっしゃいます。

 

町歩きの際に、通りの名前にそのいわれや土地の人々の息遣いに思いを馳せるのも、また興味深いことです。さあ、次はどの路地を歩いてみましょうか。