小猿

活字の文化を残し伝えるー中村活字ー

10月のわくわくツアーで銀座の中村活字さんにおじゃましました。1910年(明治43年)創業の活版印刷の老舗です。5代目社長の中村明久様がお話くださって、珍しい機械や活字に触れさせていただきました。

活版印刷とは

活版印刷とは 活字の文化を残し伝えるー中村活字ー

15世紀にドイツ出身のグーテンベルクによって発明され、聖書が印刷されて広く普及しました。活字を拾い、組み、印刷、作った版をばらす、という工程は専門の職人さんの技が必要です。日本でも、一枚の板に文字や絵を彫った版で印刷する木版印刷から、一字ずつ彫った文字が独立している活字を版に組んで印刷する活版印刷へと進化しました。

体験させて頂いたカードの写真の銀座の文字は、小さな銀の字と小さなの字がたくさん組み合わさって出来ています。

印刷革命と呼ばれることもある活版印刷によって、本が大量に供給されると、高価だった書籍が庶民でも手に入るようになり、知識の蓄積、交流が進みました。

 活字の文化を残し伝えるー中村活字ー
 活字の文化を残し伝えるー中村活字ー

引き戸というケースにたくさんの活字が並んでいます。棚が斜めになっているのは活字が落ちないよう、選びやすいように工夫されでいます。

活版印刷のゆくえ

新聞社や広告会社が密集していたこともあり、大量生産が可能な活版印刷は銀座の地場産業になりました。戦前戦後の新聞はすべて活字だったそうです。最盛期には200軒もの印刷所がありましたが、1970年代に入ると印刷業界でもコンピューターが利用されるようになりました。時間と労力のかかる活版印刷は姿を消して行き、現在では印刷所は中村活字さん一軒になりました。

印刷物を手に取ってみると、活字の部分にかすかに凸凹があって、手作りの温かさが伝わって来ます。近頃では、それを求めて名刺を作る人やポスターなどアートの世界で依頼が増えているそうです。

最先端と古いものが自然に同居している中央区で、活字の文化を守って奮闘されている中村活字さん、貴重な体験をありがとうございました。ここからまた新しい流れが生まれてくる気がしています。

 

 活字の文化を残し伝えるー中村活字ー

 

株式会社 中村活字

東京都中央区銀座2-13-7

03-3541-6563