2024 "櫨(ハゼ)紅葉"が醸し出すグラデーションの彩り
ハゼノキはウルシ科ウルシ属の、中国·インドシナ原産とされる、雌雄異株の落葉(小)高木。 和蝋燭の原料となる木蝋採取の徳用樹木として "ロウノキ"、琉球を経由して渡来したことから "リュウキュウハゼ" とも呼称されます。 今日、国内の山地に見られるのは、資源作物として植栽されたものが逸出したものと考えられています。 和蝋燭は、石油の分留から取り出されたパラフィンが原料の一般の洋蝋燭に比べ、一本一本職人手作りの為コスト高ですが、炎が大きく明るく、油煙や蠟垂れも少なく、小刻みな炎の揺れは心を落ち着かせるリズムがある趣のある灯りとされているようです。 葉は披針形で先端が尖り鋸歯はなく、表面は濃い光沢のある緑色、裏面は白緑色の、互生する奇数羽状複葉で、全ての葉が一気には紅葉せず、黄緑色から次第に透明感のある鮮紅色へと移ろい、都度グラデーションの妙が楽しめます。 俳句の世界でも美しいハゼノキの紅葉を "櫨(ハゼ)紅葉" と呼び、秋の季語の一つに数えられています。 雌株には、未熟果実は緑色で、熟すと淡褐色の小果が沢山実ります。果肉の脂質は高カロリーで、野鳥が好んで啄み、種子散布に寄与しています。 浜離宮恩賜庭園では、園内随所に植栽されているハゼノキが色づき始め、来園者を魅了しています。 殊に逆光に透ける、羽状複葉の微妙に移ろう紅葉色が印象的です。