国宝「日向正宗」登場
三井記念美術館「日向正宗と武将の美」展始まる
大ヒットのONLINEゲーム「刀剣乱舞」でキャラクター化され「刀剣女子」に大人気の「日向正宗」がいよいよ登場とあって三井記念美術館は「大変な混雑」、ではなくゆっくり名刀と対面可能です。コロナ禍でこちらも入場予約制を取っているためです。
三井記念美術館は国宝を6点所蔵していますが、公開される機会の多い「志野茶碗・卯花墻」「雪松図屏風」「熊野御幸記」の他の3点は何かご存知ですか?今回残りの2点を見ることができます。
「短刀 無銘正宗 名物日向正宗」と「短刀 無銘貞宗 名物徳善寺貞宗」の二振です。美術館のリリースでは企画の趣旨を「開館以来、刀剣を中心とした展覧会は開催しておりませんが『刀剣乱舞』に象徴される刀剣ブームと今回のコロナウィルスの魔を祓う意味も込めて・・・」と説明しています。2018年に開催された京博の「京のかたな展」は昨今の刀剣ブームを象徴するような凄まじい人出でした。今回は前述の国宝2点と重文7点を含む「館所蔵の名刀をすべて展示」されています。
このため展示室4の「刀剣・絵画」は少々渋滞気味。お気に入りの太刀や刀の前からずっと動かない人が。それにしても想像以上の「刀剣女子」人口。こんなに若い、それもかなり若い(高校生か大学生くらい)女性達がこの美術館に溢れているのをみるのは初めてです。
皆様よくご存知かと思いますが、「日向正宗」は石田三成が所持し、関ヶ原の合戦の際、東軍の水野日向守勝成が手に入れたことから「日向正宗」と呼ばれています。「刀剣乱舞」では「日向正宗」としてイケメンキャラクター化されて刀剣女子には大人気です。(コラボ商品の特製ファイルを購入しました!)「徳善院貞宗」も同じく短刀ですが「貞宗」は正宗の実子とも弟子とも伝えられています。刀身に彫刻が施された作品が多く、こちらも表に不動明王の梵字に素剣と爪が彫られています。秀吉が所持し、五奉行の一人・前田徳善院玄以が拝領したのでこのように呼ばれます。その後家康から紀州徳川家の分家西条松平家に伝わりました。(美術館パンフの説明)「日本刀の基礎知識」というわかりやすい説明書きも配布されていて刀剣鑑賞初心者にも親切です。刀剣の説明には「鎺」(はばき)「錵」(にえ)「鎬」(しのぎ)など国字や国訓の漢字が多く、made in Japanの国字を作った日本人のセンスのよさが何だか誇らしくなってきます。
「武将の美」とタイトルにあるように、刀剣以外の展示も充実。武将の茶道具・雛道具・絵画・能面・甲冑など武将達の美意識を感じさせられます。私は大好きな「三好粉引」と呼ばれる三好長慶所蔵の粉引茶碗に遭えたので大満足。この美術館で何かひとついただけるのであれば迷うことなく「これ!」です。
「刀剣女子」でなくても充分に楽しめること請け合いです。感染者急増なので遠出のかわりに近場の美術館で「日本文化」に浸るのも如何でしょうか?(併設のカフェでスイーツにも浸りました。)
「日向正宗と武将の美」展 三井記念美術館 ~2021年1月27日 11:00~16:00 月曜日休館
すべての入館者は予約が必要です。http://www.mitsui-museum.jp
日本橋室町2-1-1三井本館7F
2020/11/22 取材