「笠間朱色」でつながる本社と別社 — 笠間稲荷神社東京別社
もう1年ほど前になってしまうのですが、茨城県の笠間市を訪れる機会がありました。
笠間市のシンボルといえば…創建は白雉2(651)年と伝えられ、日本三大稲荷にも数えられるという、笠間稲荷神社です。
笠間稲荷神社の特徴の一つが、この鳥居に見られるような、独特の朱色の塗りです。
一般的な朱色に比べると落ち着きのある臙脂色に近いような色合いで、境内にある拝殿や楼門(写真奥)なども同じ色で塗られています。
(なお、正確には拝殿のほうの色が先です。現在の鳥居は2016年に再建された際に拝殿と同じ色で造られたもので、2010年ごろまでは石造だったようです)
笠間の街には「笠間朱色」がいっぱい
この独特の朱色を、地元の街の皆さんが「笠間朱色」と呼んでまちづくりに活かしている…という話を、訪れた際にお聞きしました。
そう言われて街を見回してみると、確かに笠間稲荷神社の拝殿や鳥居と同じ笠間朱色が色んなところに使われています。
例えばこの交差点…
信号機を見てみると、みごとに笠間朱色に塗られているではありませんか!
店構えにも笠間朱色!
笠間稲荷神社の門前には土産物屋さんや飲食店が並び、名物のいなりずし等を楽しむことができますが、この写真のお店のように、店構えに笠間朱色を活かしているところもあります。
そのほか、ベンチや案内標識も笠間朱色に塗られており、笠間朱色を街全体で活用するというユニークなまちづくりが進められていました。
中央区にも笠間朱色が…!
さて、話は変わって今年のこと。
僭越ながら、今年度の中央区観光検定に向けた「ものしり講座」の講師を担当させていただきました。
(新型コロナウイルス感染拡大防止のため、講座は対面形式ではなくyoutubeでの動画配信となっており、中央区観光検定のホームページに貼られているリンクから期間限定で、検定前日の令和3年1月22日(金)16時までご覧いただくことができます。自分で宣伝するのはちょっぴり恥ずかしいですが…、ぜひご覧ください!)
講座の中では、身近な街で観光を楽しむ「ご近所観光」のコツをいくつかお話しました。
その中で、テーマを決めてからスマートフォンに頼らずに街を歩くという方法を提案し、その例のひとつとして、日本橋七福神めぐりをご紹介したのですが、
講座のスライドを作るために日本橋七福神めぐりをしていたところ、寿老神を祀る笠間稲荷神社東京別社(日本橋浜町2-11-6)の拝殿で、あることに気がつきました。
……そう、東京別社の拝殿も笠間朱色に塗られているのです!
この東京別社は安政6(1859)年に当地にあった笠間藩下屋敷の敷地内に笠間稲荷神社の御分霊が祀られたものであり、笠間にある本社との歴史上のつながりは明確ですが、笠間朱色によってそのつながりが目に見えるものになっているように感じました。
ぜひ、この独特の色合いを見に、浜町にも、笠間にもいらしてください!