人形町駅から行ける、静かな佇まいの神社 NO.34
~ 家内喜稲荷神社 ~
『ギフト、そして自分も楽しむ』をアベイラビリティーを高めて取材します、rosemary sea です。
「人形町駅から行ける、静かな佇まいの神社」シリーズ、第34回の今回は、家内喜稲荷神社(やなぎいなりじんじゃ)をご紹介します。
家内喜稲荷の「家内喜」は、元は「柳」でしたのでしょうね。
江戸の粋・語呂合わせ、御利益を求めて縁起の良い字を当てたと推測されます。
それでは・・・
家内喜(やなぎ)につきまして、考察・・・
家内喜多留(やなぎだる)・・・
思いつくのは、『結納品』の1品目。
柳の木、この木材でできた酒樽です。
家の中に福がいっぱい訪れるように、という意味が籠められています。
本来はお酒を入れた樽、手で持つことのできる樽が用意されるところですが、もうずっと以前から酒肴料(しゅこうりょう)として現金を包むことの方が多いようです。
ちなみに、
関東の一般的な結納品
② 末広(すえひろ)
白扇子。扇子は「末広がりの繁栄」、白は「純潔・無垢の心」を表します。
③ 友白髪(ともしらが)
白い麻ひもや麻糸。「夫婦ともに白髪になるまで」添い遂げられるように、と、夫婦円満や長寿を願います。
④ 子生婦(こんぶ=昆布)
よろこぶ=よろこんぶ。生命力・子宝の意味もあります。
⑤ 寿留女(するめ=スルメ)
日持ちが良いのと、噛めば噛むほど味が出る、すなわち「夫婦の末永い絆」を表します。
⑥ 勝男節(かつおぶし=鰹節)
男性の力強さを表現しています。
⑦ 金宝包(きんぽうづつみ=結納金)
⑧ 長熨斗(ながのし)
アワビをたたいてのばしたもの。長生きする貝=延命長寿。
⑨ 目録(もくろく)
いわゆる「結納品の明細書」。
この9品を減じる場合もありますが、5・7のように奇数は維持するようです。
はい(言べんに非)風柳多留(はいふうやなぎだる)・・・
日本史の江戸時代文化として学習しましたね。
柄井川柳(からいせんりゅう)が江戸中期に始めた川柳の句集。
「柳樽」と書くこともあるようですが、「家内喜」とはならないようです。
脱線しましたが、これも字数を埋めるための苦肉の策とお考えください。
実のところ、この神社につきまして詳しい謂われが見つかりませんでした。
しかし、こちらの社はとても綺麗に手入れと掃除がされており、植栽も見事に季節感を捉えています。
下の画像、灯篭に巻き付けられた蔦植物、土台の葉牡丹、また、その下の画像のお狐さまに巻かれたマフラーには、洗練されたセンスを感じます。
今回も江戸古典落語をご披露させていただきます。
第26回になります。
チョイスする演目は、家内喜稲荷 ⇒ 柳 ⇒ 柳樽 ⇒ 酒樽 ⇒ 試し酒 という紆余曲折の果ての『試し酒』です。
『試し酒』
尾張屋に訪れた近江屋の主人、下男の久造を従えていました。
近江屋は自慢します、この久造は大酒飲み、5升は飲める、と。
そこで尾張屋の主人は賭けを持ちかけます、5升飲めたら温泉で遊ばせる、と。
久造は、「少し考えさせてください」と外に出ます。
戻ってきた久造、用意されたお酒を1杯、2杯・・・あっさり5升を飲み干します。
尾張屋「あたしが負けた、ところでさっき外へ出ていったのは酔わないためのまじないなのか?」
久造「いえ、5升なんて飲んだことがないから、表の酒屋で試しに5升飲んできました」
家内喜稲荷神社
日本橋室町4-2-12
東京メトロ日比谷線・都営浅草線 人形町駅より徒歩20分
東京メトロ日比谷線 小伝馬町駅 徒歩12分
JR総武線 新日本橋駅 徒歩4分
人形町駅 A4出口の人形町交差点方面を出て人形町通りを右、車の一方通行方向へ進む。
小伝馬町交差点(ここが小伝馬町駅)を左へ、江戸通りを進む。
昭和通りを越えて中央通りを右折、約150m先の「室町4丁目」交差点を渡り左の角より左に2軒目です。
※ 次回はこのシリーズの最後を飾ります、小網神社をご紹介します。