小猿

小村雪岱ー江戸の粋から東京モダンへー

以前、掛川市にある資生堂のアートハウスで、小村雪岱の絵を見ました。浮世絵のような懐かしさと繊細な線の美しさ、江戸を感じる作品でした。調べてみると中央区とも関係が深い画家で、大正6年から12年まで、資生堂意匠部に在籍して『銀座』や『花椿』『化粧』の装幀や挿絵で日本調のデザインを手掛けていました。

また、現在も続く<資生堂文字>(やや縦長、横線が細く清廉な書体)は雪岱が持ち込み、残した仕事です。

 

装幀家として

装幀家として 小村雪岱ー江戸の粋から東京モダンへー

泉鏡花の「日本橋」を始めとして、多くの鏡花作品の装幀を行いました。̪写真は一筆箋のデザインになった鏡花の「日本橋」の表紙です。元々雪岱は鏡花の作品を愛読しており、画号「雪岱」は鏡花によって付けられました。

挿絵、舞台美術でも活躍

挿絵、舞台美術でも活躍 小村雪岱ー江戸の粋から東京モダンへー

邦枝完二が新聞に連載した時代小説「おせん」の挿絵を手掛けた他、新聞や雑誌に膨大な数の挿絵を描きました。挿絵に使われた用紙は日本橋榛原特製の薄い美濃紙だった、と言うのも中央区との繋がりです。

雪岱の活躍はさらに広がり、十三代目守田勘弥の依頼で舞台装置も手掛けるようになり、五代目中村歌右衛門、六代目尾上菊五郎ら名優たちの芝居の舞台美術は200回にも及びます。

三井記念美術館にて開催中

三井記念美術館にて開催中 小村雪岱ー江戸の粋から東京モダンへー

現在、日本橋の三井記念美術館で、「小村雪岱スタイルー江戸の粋から東京モダンへー」と題した展覧会が開かれています。日時指定の予約制です。

江戸時代中期、美人画で一世を風靡した鈴木春信の再来と言われる雪岱、「こぼれ松葉」「青柳」「春雨」「雪兎」、、、作品の題名だけ見ても風流な景色が浮かんで来ます。物語のある江戸風美人に会いに行きませんか?

小村雪岱スタイルー江戸の粋から東京モダンへー 

〔前期〕3月14日(日)まで 〔後期〕3月16日(火)~4月18日(日)

 お問い合わせ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

http://www.mitsui-museum.jp