滅紫

「桜餅」いろいろ

桜の開花予想が出始め、和菓子屋さんの店頭に桜餅が並び始めました。漸く「春」です。

「桜餅」関西は道明寺生地、関東は小麦粉生地を使っているのは皆様ご存知の通りです。

虎屋文庫の青木直巳氏の「和菓子の歴史」によると桜餅の起源は関西では「京都嵯峨・車折神社の境内にあった茶屋で作ったのが始まり」。車折神社は一名「桜宮」と呼ばれることからだとか。関西では道明寺は桜餅の異名なのです。

関東では「八代将軍・吉宗の公園政策で飛鳥山・御殿山・隅田川・小金井に桜を植樹。茶店の収益で樹木の管理をさせたのが起こりで、江戸後期に向島長命寺門前で現在も続く山本屋の先祖が桜餅を考案したという」とありました。

 「桜餅」いろいろ

桜餅の人気振りを紹介している江戸後期の「兎園小説」(1825)には『隅田川桜餅』として「文化七年一年の仕入れ高、桜葉漬け込み三十一樽(但し一樽に凡そ二万五千枚ほど入れ、葉数七十七万五千枚なり(但し 一つに葉二枚ずつなり)この餅数〆三十八万五百。一つの値、四文ずつ、この代〆千五百五十貫文、金に直し二百二十七両二朱と四百五十文。年中平均して一日の売り高、四貫三百五文なりといへり」(四文は山本博文「江戸の銭勘定」によると約120円。明暦3年(1657)の公定歩合では一両=銀六十匁=銭四千文)

山本屋さんのご先祖にしてみれば大きなお世話ですが、今の私たちには江戸時代の「桜餅ビジネス」を知ることの出来る何よりの記録。嬉しい「おせっかい」です。

 「桜餅」いろいろ

こちらは関東系の別バージョン、あけぼのの「ふくさ包み」の桜餅(248円)この形、他で見たことがありません。

道明寺系として京都に本店のある「仙太郎」の桜餅(194円)、長命寺系として清月堂本店の桜餅(280円)をご紹介します。販売はいずれも4月中旬までです。

余計なお世話ですが、「仙太郎」さんのしおりに「是非、手づかみで食べていただきたい。黒文字等でつつきまわさず、あっさりパクリ、ムシャムシャとやっていただきたい」とありました。

では私も「パクリ」

清月堂本店 銀座7-16-15 電話 03-3541-5588

      月ー金 9:30-19:00 土 9:30-18:00 日祝休み

仙太郎   銀座三越B1

あけぼの  銀座5-7-19 電話 03-3571-3640

      月ー土 10:00-21:00 日祝 10:00-20:00