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お雇い外国人によって始められた!?日本初の運動会


こんにちは。アクティブ特派員のHanes(ハネス)です!
中央区内の学校では秋に運動会が行われることが多いようですが、私の地元では今頃行われる学校もあります。
運動会の日は、学生にとっては勉強をしなくていい嬉しい1日、親御さんにとってはお子さんの楽しそうな姿を見ることのできる特別な1日ですよね
そのような、誰しも思い出のある運動会ですが、いつ、どのようにして始まったのでしょうか?
そして、最初の運動会と今では、種目や音楽は大きく異なるのでしょうか?

まずは中央区観光検定でチェック!

中央区観光検定の過去問をご覧になった方、中央区観光検定 de タイムアタックに挑戦された方はご存知かもしれません。
第3回の検定では以下のような問題がありました。

日本で初めて行われた運動会は、明治7年(1874)に築地の海軍兵学寮で行われた競闘遊技会といわれています。この遊技会では18種目の競技が行われたとされていますが、当時実施されなかった競技は、次のうちどれでしょう。※選択肢は現代の競技名・表現にしてあります。

ア:二人三脚 イ:騎馬戦 ウ:幅跳び エ:高跳び

正解は、「イ:騎馬戦」!
正解率は14%という中央区観光検定きっての難問といえるでしょう。
兵学寮というだけあって騎馬戦が最も正解らしく見えるので、意外も意外ですよね。

海軍兵学寮

それでは、問題文に出てきた海軍兵学寮の特徴をおさえながら、日本初の運動会についてもう少し詳しく見てみましょう。

海軍兵学寮は、1869年に創設された海軍操練所が前身で、後に海軍兵学校へと改称されています。
一番の特徴は、海鼠壁屋根瓦という西洋風の建築様式の校舎!
そのことから、当時の人々の注目を集めたといいます。

 お雇い外国人によって始められた!?日本初の運動会

(国立がん研究センター中央病院のそばにある海軍兵学寮跡および海軍軍医学校跡)


そのような印象的な外観の海軍兵学寮前にあった練兵場(草場)で行われた日本初の運動会は、1873年に招聘された英国教師団の団長アーチボルド・ルシアス・ダグラス(Archibald Lucius Douglas)中佐の発想によって始まりました。

黒船来航後、日本海軍の近代化のため、日本同様の小さな島国ながら海上での覇権を握った英国より彼の率いる使節団(35名)が招かれました。
彼は、ケベックで育ちましたが、名字からも分かる通り父はスコットランド生まれ!
14歳で両親から英国海軍への入隊を許され、31歳という若さで妻、2人の子ども、乳母と共に来日。
築地居留地に住み、国から厚遇されることもあれば、時代が時代だけに外国人にとっては暮らしづらいこともあり、装填したショットガンを持ったまま寝たという記録が残っています。

 お雇い外国人によって始められた!?日本初の運動会

ポストカードに描かれたダグラス中佐(出典:The Douglas Archives)


海軍兵学寮にて海軍の指導にあたったダグラス中佐ですが、はじめは思っていた以上に英国海軍の精神と侍の慣例がかみ合わず、匙を投げそうになりました。
しかし、共通の土壌を築くため、英国海軍の英雄であるネルソン提督を引き合いに出し、海軍兵学寮の非公式の信条にしたところ、いともすんなり受け入れられたようです。
ダグラス中佐が最も期待を寄せた生徒東郷平八郎は、1905年の日本海海戦(対馬沖海戦)での活躍から「東洋のネルソン」と称されました。

さて、話を運動会に戻しますと、当時の種目には、検定の選択肢に含まれるものの他に、「徒競走」、「玉投げ」、「走る豚の尾を握る競争」、「頭上に水桶をのせて馳け足」、「鶏卵二〇個を一ヤードごとに置き、これを拾わせる競争」等があったようです。

当時の審判は行司と呼ばれ、教師団の士官が担当。
1~3位の表彰式時には、現代と同様にヘンデル『見よ、勇者は帰る(原題:See the conquering hero comes)』が演奏されたそうです!
表彰式時にこの音楽を流す文化は、戦後定着したものだと思っていましたが、日本初の運動会開催時から演奏されていたとは驚きました。

これまで145年前の運動会のはじまりについて深く考えることはありませんでしたが、種目や音楽は現代と同じものが多いだけでなく、日本初の運動会はお雇い外国人によって始められたことや、ダグラス中佐と東郷の子弟関係等の発見もありました^^
このような知れば知るほど面白い魅力が詰まった中央区での散策は明日も続きます。

参考文献

築地居留地研究会『築地居留地』第三巻(亜紀書房、2004年).
Shannon, Anne (2012) Finding Japan: Early Canadian Encounters with Asia. Vancouver: Heritage House Publishing Co.