開業50周年「新日本橋駅」に残る昭和と国鉄の痕跡
巷では鉄道開業150周年で盛り上がっていますが、中央区にある新日本橋駅は今年開業50周年を迎えました。
中央区は地下鉄が9路線も通っているのですが、JRの駅はたった3つしかありません。その1つ新日本橋駅の「中央区観光協会特派員限定ツアー」に参加し、駅員さんの案内で駅構内、そして普段入れないエリアも探索しました。
50年前といえば、時代は昭和、JRはまだ国鉄の時代です。新日本橋駅に残る昭和と国鉄の痕跡を見つけました。
ホームに国鉄の痕跡
新日本橋駅は地下4階建て、改札のある地下1階から、普段は入れない特別避難階段を降り、通路を通り抜けて、ホームのある地下4階まで降りました。
地下4階のホーム天井付近には、昭和時代の古い「新日本橋(しんにほんばし)」の駅名表示が残っていました。これは国鉄時代に使われていた書体「すみ丸ゴシック」で書かれています。
現在のJRの書体と違い、角が少し丸みを帯びていて優しくて控え目で、何か懐かしい感じがします。
「すみ丸ゴシック」について少し調べました。正式名は「すみ丸角ゴシック体」といい、昭和35年(1960)に国鉄が独自に開発した書体だそうです。
当時、国鉄では、職人さんが手書きで駅表示を書いていました。筆で角の鋭角を出すのは難しく、ゴシック体から角の部分を取って丸くしたこの書体が採用されました。
特に「すみ丸ゴシック」のひらがな文字は独特のカーブで個性的な形をしています。職人さんの書きやすさも考えて作り出された文字なんだそうです。
昭和35年、国鉄はこの書体で掲示類の統一を図ります。誰が書いても同じ文字になるよう、初めて書体見本を作って全国に展開しました。
JR東日本になり新ロゴに変わりますが、JR東海は国鉄の「すみ丸ゴシック」を引き継いだ「スミ丸ゴシック体」を現在も使っています。
昭和の接近表示灯が点灯
地下4階のホームを支える太い円柱がホームに沿って等間隔で並んでいます。そして円柱の横の上部にある「接近表示灯」は昭和時代のものでした。
接近表示灯は電車がホームに入ってくる際に点灯し電車の接近を知らせるもの。最近はLEDの表示灯に変わっており、この電燈タイプの表示灯は少なくなりました。今も現役で白く点灯していました。
ホームには太い円柱が等間隔で並んでいますが、1か所だけアーチのついた壁状の柱になっている部分がありす。この上を銀座線が走っているのだそうです。
ホームの壁には青いパイプラインが壁に沿って横に伸びています。このパイプラインは「送水管」なのだそうです。
地下深くの総武線トンネルではたくさんの湧水が出るため、湧水を集めパイプラインで外に送っており、はるか先の立会川へ放水しているそうです。
以上、新日本橋駅の見学ツアーに参加し、他にも普段みられない貴重なもの、昭和・国鉄時代の痕跡を見せていただきました。
案内をしていただいた新日本橋駅の皆様、応援にかけつけてくださった東京駅の駅員の皆様、ありがとうございました。分かりやすい解説で大変勉強になりました。
新日本橋駅
住所:中央区日本橋室町4丁目
開業年月日:昭和47年7月15日