中央区内で能を知る
~宝生・金春・観世関連スポットを巡って~
こんにちは。恩師の晴れ舞台を見に行く機会があり、能の勉強を始めたHanes(ハネス)です。
能については、中央区観光検定の公式テキスト『歩いてわかる中央区ものしり百科』に掲載されている「町入御能(まちいりおのう)」ほどの歴史的知識しかありません。
公演に先立ち、歌舞伎との違い、シテ方やワキ方といった能楽師の役、番組の見方を頭に入れた後は、中央区内で能に関するスポットを巡ってみました。
中央区内で能というと、通り名や銭湯名、イベント名に名を残す大和猿楽四座の金春が真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、あえて金春以外のスポットからご紹介してみようと思います。
それが、水天宮内にある「宝生辨財天(ほうしょうべんざいてん)」です。
水天宮というと、戌の日に参拝するご夫婦が多いことから安産にご利益があることで広く知られていますが、実は芸事や学業成就にも霊験あらたか。
案内板にある通り、久留米藩9代藩主有馬頼徳公が加賀藩第11代藩主前田斉広公と宝生流能楽の技を競われた際、辨財天に願かけをした結果、見事勝利をおさめたそうです。
尊像は運慶の作と伝わり、毎月5日と巳の日に御社殿の扉が開き、御神像の拝観が可能。
さらに、「日本橋七福神めぐり」に含まれており、来る5月第2巳の日は祭礼日。
参拝に訪れる宝生流の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
続いては銀座へ移動し、長さ約130mほどの「金春通り(こんんぱるどおり)」へ。
現在「銀座ガス灯通り」として知られる通りの一部は、かつて観世流の屋敷があったことにちなみ「観世通り(かんぜどおり)」と呼ばれていましたが、現在通り名として能の名残があるのはこの金春通りのみとなりました。
下の写真に見て取れるように、通り沿いには銭湯「金春湯(こんぱるゆ)」があります。
金春湯の公式ウェブサイトによると、「金春という屋号は、江戸時代、この界隈に金春流の能役者の屋敷があったこと」に由来。
しかし、銀座に銭湯があるなんて、どんな雰囲気なのか気になりますよね。
詳しく知りたい方は、先輩特派員いのちゃんの記事「【ニューヨク・タイムズ】 創業は文久三年! 江戸っ子銭湯 『金春湯(こんぱるゆ)』【銀座八丁目】 」をご覧ください。
この通りを南に向かって歩くと、御門通りに沿いに設置された「金春屋敷跡」の案内板が目に入ります。
ここでは、金春家が豊臣秀吉の強力な保護を受け、能楽の筆頭として召し抱えられたことや、元禄6年(1692年)頃には、金春大夫が山王町(現・銀座8丁目)、観世大夫が弓町(現・銀座2丁目)、宝生大夫が大鋸町(現・京橋1丁目)、金剛大夫が滝山町(現・銀座6丁目)に屋敷を拝領していたことなど、当時いかに銀座・京橋エリアで能文化が花開いたかを知ることができます。
また、金春通りより1本西の通り「見番通り」にはなりますが、新橋芸者の稽古場がある新橋会館の屋上には「金春稲荷」が祀られています。
通常は一般公開されていませんが、毎年8月7日に開催される「能楽金春祭り」の際に限り金春通りに勧請され、参拝が可能となります。
2022年のお祭りは中止でしたが、金春稲荷は例年通り地上におりてきました。
その時の様子は、先輩特派員銀造さんの記事「金春稲荷御旅所 ノーブルパール」にてご覧ください。
こうしてみると、街中には意外と能の文化が息づいていることが分かります。
しかし、これだけではありません。GINZA SIX内には観世能楽堂が入っており、毎週何らかの公演が行われています。
歌舞伎座があることから、中央区というと歌舞伎のイメージが強いかもしれません。
しかし、能を意識して街歩きをしてみると、面白い発見もあるのでは!?
これを機に、引き続き中央区内で能に関するスポットを探してみたいと思います。
最後になりますが、ゴールデンウィークはもう目前。
中央区を訪れるご予定のある方は、中央区観光協会公式ウェブサイトのイベント情報をチェックしてみてはいかがでしょうか?
旅の計画に役立つ情報が入手できるはず♪
それでは、皆様、良いゴールデンウィークをお過ごしください!