『江戸名所図会』より見えてくる中央区 駿河町編
「元日のみるものにせん不二の山 宗鑑」
「駿河町 三井呉服店」『江戸名所図会』国立国会図書館デジタルコレクションより
私は絵画については素人ですが、富士山を中心に遠近法を利用した絵図であることはわかりました。また宗鑑の俳句からもお正月の絵であることがわかると思います。恐らく正月で賑わう駿河町の風景を描いた絵図でしょう。
絵図と写真の一番の違いは富士山が見えているか・見えていないかである。現在の日本橋室町二丁目交差点から撮った写真である、駿河町の名前は駿河にそびえる富士山がよく見えたことに由来します。現在では大手町のビル群に隠れて富士山を見ることはできません。絵図からわかる通り、駿河町のほとんどが三井越後屋呉服店です。左手側が日本橋方面、右手側が今川橋方面で、富士山に向かう中央の通りが現在で言う「江戸桜通り」です。
「げんきんかけねなし」
「駿河町 三井呉服店」『江戸名所図会』(部分) 国立国会図書館デジタルコレクションより 絵図右側の看板に注目すると、「三井越後屋の店章 “丸に井桁三”」「呉服物品々」「げんきんかけねなし」「室町二丁目」「越後屋」と読める。この現金掛け値なしとは掛け売りをしないで、正札通り現金で売るということで三井越後屋が始めた商法です。看板にまで「げんきんかけねなし」と書いてあるのが確認できます。
三越日本橋本店
左側には現在でも、三越日本橋本店があります。
三井本館
右側には、建物の外壁に取り付けられたコリント式オーダー列柱で有名な三井本館があります。私の記憶が正しければ「第15回中央区観光検定」の問1の写真問題がこの写真とほぼ一緒でしたね。