rosemary sea

追悼展「鐵千年の命 鍛冶 白鷹幸伯の生涯」  ~ 日本橋木屋本店 izutuki ~

『ギフト、そして自分も楽しむ』のネームバリューを利用して取材します、rosemary  sea  です。

 

老舗刃物店の日本橋木屋本店さん、併設されたギャラリー izutuki にて、5月9日(木)から6月12日(水)まで『追悼展 「鐵(てつ)千年の命 鍛冶(かじ) 白鷹幸伯(しらたか ゆきのり)の生涯』を開催中です。

「鐵千年」とは、白鷹さんが白鳳期建造物の復元のため、千年の年月にたえる錆に強い釘「千年の釘」の鍛造に取り組まれたことからのネーミング。

和釘や包丁など、白鷹さんの作品の展示を、今回行っています。

一部販売もされています。

 

株式会社木屋 日本橋本店 金子店長に、今回もお世話になりました。

併せて、森越さんにご説明をいただきました。

『』内は森越さんのコメントです。

それでは・・・

白鷹幸伯さんについて

和釘(わくぎ)鍛冶(かじ)の第一人者。中央大学卒。

号は「興光(おきみつ)」二代目。

1935年(昭和10年)、愛媛県松山市生まれ。

1961年、木屋さんに入社。

1971年、西岡常一(にしおか つねがず)棟梁・・・宮大工、永きに亘り法隆寺専属・・・に出会う。

1971年、木屋さん退社。故郷松山に帰る。

      ただし、木屋さんの鍛造オファーは継続。

その後、薬師寺西搭・法隆寺・東大寺・出雲大社・唐招提寺・室生寺・明治神宮・厳島神社・錦帯橋・松山城などの再建・修復工事のための和釘や槍鉋など鍛造。

ほかに包丁や各種大工道具なども鍛造されました。

2017年、没。享年81歳。

節をよけて打ち込まれた釘(和釘)

節をよけて打ち込まれた釘(和釘) 追悼展「鐵千年の命 鍛冶 白鷹幸伯の生涯」  ~ 日本橋木屋本店 izutuki ~

硬い釘は木の繊維を傷めます。

古代の釘は打ち込んだ際に木目に馴染みながら、木と一体化します。

『和釘は程よくやわらかくしなります。

鉄の純度が高かったようです。』

薬師寺西搭再建用和釘と薬師寺槍鉋(やりがんな・木枠の手前左)

薬師寺西搭再建用和釘と薬師寺槍鉋(やりがんな・木枠の手前左) 追悼展「鐵千年の命 鍛冶 白鷹幸伯の生涯」  ~ 日本橋木屋本店 izutuki ~

木枠内は、左から5本、順に和釘の鍛造工程がわかるようになっております。

その隣りの4本は和釘の種類、垂木釘・飛えん垂木尻止め釘・木負釘・茅負釘。

『釘だけでなく、槍鉋などの大工道具もつくられました。』

古代槍鉋

古代槍鉋 追悼展「鐵千年の命 鍛冶 白鷹幸伯の生涯」  ~ 日本橋木屋本店 izutuki ~

古墳時代や弥生時代、平安時代などの槍鉋を復元したもの。

遺跡よりの出土品や文献などを参考にして鍛造されたものです。

大錆切出し

大錆切出し 追悼展「鐵千年の命 鍛冶 白鷹幸伯の生涯」  ~ 日本橋木屋本店 izutuki ~

左より、5年・10年・15年

それぞれ5年、10年、15年かけて錆を形成させた切出しです。

『15年の方がごつごつしていて、窪みもとても大きいです。』

切出し 各種 ①

切出し 各種 ① 追悼展「鐵千年の命 鍛冶 白鷹幸伯の生涯」  ~ 日本橋木屋本店 izutuki ~

左:重巡洋艦「青葉」 切出し

中央:掻き落とし 切出し(大仏殿古材 使用)

右:磨き切出し

 

重巡洋艦「青葉」・・・

日本海軍の軍艦。1927年(昭和2年)竣工。

排水量9000トン、全長185m、乗員657名。

中曽根康弘元首相も、海軍主計中尉時代に訓練で乗っていたことも。

この船は何度も大破しつつ舞い戻ってくることから、「ソロモンの狼」と呼ばれていました。

1945年(昭和20年)7月の空襲により、呉軍港内にて着底。

その翌年から翌々年にかけて解体。

青葉 切出し は、この古材をもとにつくられました。

『この切出しは戦艦青葉の船のかたちを少しイメージしてつくられています。』

『掻き落とし(かきおとし)というのは裏の仕上げの意味です。

刃の裏の仕上げも見せどころだったりもします。』

『磨きとは刃以外のところも磨いているものです。』

切出し 各種 ②

切出し 各種 ② 追悼展「鐵千年の命 鍛冶 白鷹幸伯の生涯」  ~ 日本橋木屋本店 izutuki ~

左:細見 切出し

中央:刀子型 柄付き 切出し

右:刀子型 切出し

井桁木(いずつき)木屋 かつ吉型 かつ切包丁

井桁木(いずつき)木屋 かつ吉型 かつ切包丁 追悼展「鐵千年の命 鍛冶 白鷹幸伯の生涯」  ~ 日本橋木屋本店 izutuki ~

老舗とんかつ料理店の「かつ吉(かつきち)」さんのオファーにより、とんかつを切るためにつくられたかつ切包丁。

かたちがとてもユニークです。

 

・・・この他にも、法隆寺修復の際に余った木材や、和釘の種類のわかる展示など、大変貴重な展示物もご覧いただけます。

白鷹さんの鍛造品 販売コーナー

白鷹さんの鍛造品 販売コーナー 追悼展「鐵千年の命 鍛冶 白鷹幸伯の生涯」  ~ 日本橋木屋本店 izutuki ~

白鷹さんは2年前にお亡くなりになられていますので、鍛造されたお品の販売はとても貴重なものとなっております。

とても数が少ないので、お品自体が販売後となっているかもしれません。

ご容赦願います。

お値段は全て税込価格です。

 

左から、

和鉄 折返地(おりかえしじ)  159,840円 

切出し 大錆胴(おおさびどう)  125,485円

ここより3本 篆刻刀 虫蛙鉄(てんこくとう むしくいてつ)  21,834円

その隣りも 篆刻刀 虫蛙鉄  28,836円

そこから3本 菜切 金印 鎌型(なきり きんじるし かまがた)  17,280円

最後に 巻頭釘(まきがしらくぎ) 8,100円

 

なお、これら包丁などを購入された方に、和釘のプレゼントがご用意されています。

お知らせ

6月1日(土)・2日(日)、伝統工芸士:白鷹興光(しらたか おきみつ)さん、来場予定です。

白鷹興光さんは白鷹幸伯さんのご長男で、三代目「興光」です。

日本橋 木屋

日本橋 木屋
 追悼展「鐵千年の命 鍛冶 白鷹幸伯の生涯」  ~ 日本橋木屋本店 izutuki ~

日本橋室町2-2-1 COREDO室町1 1階

東京メトロ半蔵門線・銀座線 三越前駅 A6出口すぐ

03-3241-0110

営業時間 10:00~20:00

元日を除き、休まず営業です。

木屋さんのホームページはこちら

⇒  http://www.kiya-hamono.co.jp/