波間に金色の光が躍るがごとく
新富町最後の料亭「躍金楼」てっきんろう
新富座こども歌舞伎が生まれて今年で14年(2024年)、中央区の文化イベントとしてすっかり定着しました。そのルーツは明治8年に新富町に移ってきた歌舞伎の新富座。木挽町(銀座6丁目)に歌舞伎座ができるまでの24年間、新富町は芝居興行の中心地でした。
当時の華やかさは浮世絵によるグルメガイド「開花三十六会席」(絵師、豊原国周)から窺えます。今も残るのは西洋軒(今の上野静養軒)、神田須田町のあんこう鍋いせ源、東駒形の八百膳そして新富町の躍金楼です。
今から151年前の明治6年に創業、銀座の大火、関東大震災を生き延びた躍金楼ですが、先の大戦後に最大の危機を迎えます。老朽化した建物を建て替えようと取り壊しておいたところ、新円への切り替えで今までのお金が使えなくなってしまったのです。「銀行は水商売にはお金を貸してくれません」、「困り果てていたらお客さんが銀行の保証人になってくれて、それで建てられました」(女将 澗岡登紀子)。それが昭和24年。今では貴重な昭和の木造建築として国登録有形文化財になりました。
すぐ隣に置屋があり、三味線の音が響いていました。でも今(2024年)、新富町にいる芸者さんはお一人だけだそうです。
躍金楼という名前は光で照らされ輝く波と魚のうろこが金色に躍る様子を表したそうです。築地の海を見ながら活きの良い魚を味わってもらいたいという思いが込められているそうです。当時は店から海が見えたのですね。
有形文化財の個室でのゆったりランチ(3500円から)はビジネスにも使えます。
会席料理はカウンターと個室で17:30から22:00(10,000円から 要予約)。ランチ(平日11:30~13:45 個室は要予約)
中央区新富1-10-4 有楽町線新富町5番出口3分、日比谷線八丁堀A3出口5分 03-3553-0365 日祭日休み