一歩

静岡県伊東市で中央区が舞台の「パンの会」展

 静岡県伊東市の市立木下杢太郎記念館で、中央区を主な舞台にした『詩と写真・スケッチ・音楽で巡る「パンの会」文学散歩』特別展が5月7日まで開かれています。杢太郎は詩人であり、劇作家であり、医者などであった多彩な人でした。明治末期に興った芸術運動「パンの会」の「発起者で名付け親」と言われている杢太郎を軸に、両国橋脇の第一やまと跡などパンの会の開催会場を巡るコースを示し、パンの会を紹介しています。写真はパンフレットの表紙です。

隅田川をパリのセーヌ川に見立てる

隅田川をパリのセーヌ川に見立てる 静岡県伊東市で中央区が舞台の「パンの会」展

 パンの会は隅田川をパリのセーヌ川に見立て、その近くの西洋料理店に若き文学者や画家などが集まり、「西洋のお酒を飲みながら(略)ヨーロッパへのあこがれを抱いたり、薄れいく江戸時代の名残を惜しんだりした」(パンフレットより)。杢太郎は「パンの会は、江戸情調的異国情調的憧憬の賜物であったのである」といっているそうです。パンフレットに載っている店内の風景は杢太郎画です。

会場にまるわる詩、スケッチ・・・そして音楽テープも

会場にまるわる詩、スケッチ・・・そして音楽テープも 静岡県伊東市で中央区が舞台の「パンの会」展

 伺ったのは4月半ばの雨上がりのすがすがしい日でした。特別展では「当時の様子を描いたスケッチ、当時と現在の様子を比較した写真等」(同)を展示。また、会場やその周辺などを素材に作られた詩(「築地の渡し」「こぞの冬」「市場見学」等)を紹介していて、これらの詩に曲を付けた音楽のテープも聴けます。パンの会の会場として中央区は格好の場所だったのでしょう。

建物は国登録有形文化財

建物は国登録有形文化財 静岡県伊東市で中央区が舞台の「パンの会」展

 記念館の建物は明治40年の建築物で国登録有形文化財です。土蔵造りになまこ壁を配しています。中には杢太郎と、兄で永代橋や清州橋などの震災復興橋梁を主導した一人の太田圓三の資料も揃っており、両人の生い立ちも学べます。記念館の奥には天保6(1835)年に建てられた生家が当時のままの状態で保存されていて、伊東市内に現存する最古の民家だそうです。こちらは市指定文化財です。

 伊東に着いたのが昼過ぎだったので、駅の観光案内所で紹介してもらった「店主が自らの舟で獲った魚料理のお店」で、平皿に新鮮な多種類の魚が詰め込まれた海鮮丼を頂きました。ゴールデンウイークも後半。首都圏の小旅行に組み入れてみてはいかがしょうか。

 開催時間:4~9月は午前9時~午後4時30分(月曜日休館)

 入  館  料:大人100円 小人(中学生以下)50円

 住   所:伊東市湯川二丁目11-5

 電   話:0557-36-7454