みなとっこ日記 雨のなかのつきじの獅子
みなとっこ日記 6月9日 雨
雨の築地川公園。
お昼ごろ、歩いていると、御神酒所ができているのをみつけました。
つきじ獅子祭ですね。4年ぶりだもの、みんな、どんなに待ち望んでいたでしょう…。
葦簾でふさがれているけれど、なかをちょっとのぞいてみました。
町内神輿がそっと、出番を待っていましたよ。奥のほうには、小さなお神輿も。こちらは子供神輿だね。あれ?太鼓みたいのもある…。
長提灯に、「小田原一」と書かれています。
そうかぁ…ここ築地七丁目は、その昔、小田原町という町名でしたね。江戸時代、日本橋魚市場の本小田原町が移ってきて、南小田原町を起立したことによるとか。
思わず、カメラを向けてしまいそうになったけれど、ぐっと我慢して…。
まだ、本番に向けて休んでいるところですものね、
お祭で会えることを願って、そっとそばを通りすぎます。
そうだぁ…本祭りでは、築地波除稲荷神社の天井大獅子とお歯黒獅子のうち、どちらか一基が宮神輿と一緒に巡行するんだったよね…今年はどちらの獅子が出るんだろう。
よぉし、雨がちょっと降ってるけど、築地波除稲荷神社まで行ってみよう!
もしかしたら、スタンバイしているかも…。
わぁ~!やっぱり大きいなぁ!
樹齢3000年の黒檜(ねず)の原木から、そのまま掘り出した一木造り(いちぼくづくり)だというんだもの。木をみつけるのも大変だったそう。石川県の名工により実現した、日本一の大獅子なんだね。
あれぇ?歯のあいだから、向こう側が見える。なにやら、木の棒みたいなものが、たくさん籠に入っているね…。
うしろに回ってみると、獅子の頭の裏側が見えましたよ。
こちらは、「願い串」といって、願い事を書いて天井大獅子に奉納すると、獅子がのみこんで、叶えてくださるという、古来からの行事なのだそう。
あ、場外市場のお店のご主人みたいな方が、観光のお客様になにやら、お話されているね…。
湊っ子も、そばにじりじりと寄っていって、ふむふむ、一緒に聞いてしまいます…。
「重さは1トンあるからね!たとえば100人で担いだって、せいぜい10分くらいしかもたないよ。それで交代、交代で、結局1000人、2000人、3000人…っていなくちゃいけないってわけよ」
天井大獅子の担ぎ手は、4000人といわれています。
そうかぁ…いっぺんに何千人で担ぐんじゃなくて、交代するんだね…。
築地波除稲荷神社のお祭りといえば、江戸時代は、町会や大店がそれぞれに一対の獅子頭を持っていて、獅子頭が長い行列をつくって町を練り歩いたといいます。
そんな獅子頭も、関東大震災や戦災で、ほとんどが焼けてしまって、奇跡的に難を逃れた1対の獅子頭が、今も大切に保管されているといいます。
その獅子頭は、金色をしているそうです。
そんなつきじ獅子祭を賑わせた、華やかなりし頃の獅子頭をよみがえらせようと、平成2年と平成14年に、天井大獅子とお歯黒獅子が再興されたのです。
ちょうど、本殿のなかで、儀式がはじまりました。
今日は鎮花祭と宵宮祭で、明日は大祭式などがあって、あさって11日(日)には、ついに千貫宮神輿渡御祭で、築地町内を御巡幸されるみたい。
雨、やむといいなぁ…。
つきじ獅子祭は、いつの時代も、6月10日の前後3日間。
水辺の神様だけあって、水に縁が深く、雨の降ることが多いとか。
そうだった、天井大獅子とお歯黒獅子のうち、どちらが担がれるんだろう…。
わからなかった…、もしかして、両方かも? だって、なんといっても4年振りだもん!
2基とも出ているお祭風景の写真も、見たことあるし?
さっきの場外市場のご主人に、どっちかきいてみればよかったな…。
雨の築地川公園を帰りながら、そればっかり、楽しみにしている湊っ子でした。
♪見出しの写真
築地波除稲荷神社の錺神輿(かざりみこし)
江戸神輿の最高峰であり、重要文化財級といわれます。
中央区観光協会特派員 湊っ子ちゃん
第181号 令和5年6月9日