みなとっこ日記 4年ぶりの渡御祭
みなとっこ日記 6月11日(日)雨ときどき曇り
今日はつきじ獅子祭、4年ぶりの神社千貫神輿渡御祭の日。
朝方は、雨がつよく降っていました。
雨、やむかなぁ~と、窓のそとを眺めます。
時計の針が午前9時をさし、そろそろ築地波除稲荷神社を出発したかな…と、そわそわしはじめる、湊っ子。
窓を開けて耳を澄ましたり…。湊からでは、遠くてきこえないとわかっていても、ついそうしてしまいます。
順路図を見ると、波除通りを行き、新大橋通りにでて、築地本願寺手前で晴海通りへ。平成通りへ入って京橋築地小学校をかすめて再び新大橋通りへ。
そうかぁ…新大橋通りは、またの名を市場通り(しじょうどおり)っていうんだった。
築地市場へ通じる大通りとして、いつの頃からか人々にそう呼ばれるようになったんですね。
平成30年に、東京都中央卸売市場築地市場は、江東区へ移ったけれど、場外市場の賑わいは今も変わらず、たくさんのお客様であふれています。
お昼ごろ、湊っ子は傘をさして飛び出しました。そわそわ、そわそわ、もう来たかな…まだかな…はやる気持ちを押さえながら向かいます。
途中、法被姿の旦那衆をみかけます。
お神輿が近いことを知らせます。
そして、4年ぶりに、つきじ獅子祭渡御祭が帰ってきたことを、実感します。
築地川公園の、旧暁橋の横断歩道を渡ると、お囃子の音と、無数の賑やかな掛け声がきこえてきました。
ちょうど来たんだ!
おもわず走りだしてしまいます。
とくに、お祭り好きだという自覚もなく、お神輿を担ぐ側に回ろうと思うほど祭りっ子でもないのに、なぜかお祭りの音をきくと、じっとしていられなくなるのです。
それは、ここ中央区のまちと出会ってからのような気がします。
お祭りや季節の行事を、そばに感じられるのです。
そして、まちの歴史や表情に、愛着をもてるまちなのです。
ちょうど、宮神輿のおでましです!
江戸神輿の最高峰、錺神輿(かざりみこし)、千貫神輿!
法被姿の人たちであふれかえり、そばに近づくことができません。
熱気と歓声、それらがひとまとまりになって、渦を巻いているような感覚です。
そして、みんな笑顔です。
やる気に満ちた顔をしています。
傘を差したご近所の方たちもちらほら。
テントのなかでは、飲み物の用意をする町会のみなさん、そして、揃いの浴衣に身を包んだご婦人の姿も。
湊っ子は、獅子の姿を探しました。宮神輿のうしろにいるのかなぁ?
賑わいあふれ、宮神輿の鳳凰の姿をかろうじてみつけるのがやっと。それ以外、人影にまぎれ、何も見えません。
旧備前橋での休憩時間を終え、ふたたび動き出すと、ついに渡御のようすが見てとれました。
お囃子の山車の屋根には、桃太郎の人形がのっていました。雨に濡れないように、ビニールで保護されています。側面と背面の幕には、犬や雉など、見事な刺繍がほどこされています。
さぁ、天井大獅子とお歯黒獅子、今年はどちらがやってくるだろう!
…あれぇ、獅子の姿が見えません。
湊っ子は、途方に暮れました。
ちょうどそこへ、鷲頭っぽい方がいらっしゃったので、
「すみません、今年は、獅子頭は出ないのでしょうか」
と、控えめにきいてみました。
すると、
「どうだろうねぇ、今来てるのは宮神輿だけどねぇ」
「獅子は来ていませんか?」
「来ていないねぇ」
「ありがとうございました」
と、頭をさげました。
そうかぁ…獅子たちは、波除稲荷神社でお留守番かぁ…。
雨に濡れないようにと、文化財保護の観点からの、苦しい決断だったにちがいありません。
また、つぎの年までの楽しみができたのだと思えば、うれしいですね。
宮神輿はたくさんの人たちに囲まれながら、いさましく築地七丁目の交差点を曲がり、居留地中央通りを、聖路加国際病院方面へと向かってゆきました。
一緒についていきたい気持ちもありましたが、お神輿との出会いもまた、一期一会。
湊っ子は、お神輿に会えて、ほんとうによかった…そう思いながら、そのうしろ姿をそっと見送りました。
♪ごあいさつ
江戸時代より、隅田川河口の湊のまちは、「江戸湊」と称され、諸国からの恵みがみなここをめざして集まった、水辺の歴史をもつまちです。
みなとっこ日記は、湊のまちや、周辺エリアでみつけた素敵なできごと、歴史や文化にふれながら、湊の魅力をすこしでもみなさんにお伝えできたらいいなぁと願い、気まぐれに綴るダイアリーです。
湊がだいすき!湊っ子ちゃんは、今日も元気に歩きます!
中央区観光協会特派員 湊っ子ちゃん
第182号 令和5年6月12日