蛎殻町の松

ミクロな視点で橋を見る

「機能美」を感じさせてくれる橋。一般的には、全体の形を愛でることが多いのでしょうが、ここで、あえて数十cmまで近寄って見てみましょう。違う世界が見えてきます。
隅田川に架かる復興橋梁群のように、古い時代に架けられた橋では、丸い頭をした鋲(びょう)がたくさん使われています。「リベット」ですね。Wikipediaでは、「頭部とねじ部のない胴部からなり、穴をあけた部材に差し込んで専用の工具でかしめることで反対側の端部を塑性変形させて接合させる部品」と説明されています。

作業をするのはタイヘン!
鉄板と鉄板を継ぎ合わせるために、鉄板に開けておいた穴に、真っ赤に熱したリベットを通し、丸い頭の反対側をトントン叩いて整形します。熱する場所からリベットを通す場所までは高さや距離がありますから、真っ赤なリベットをヒョイと投げて、キャッチするという離れ業を何度も何度も繰り返さなければなりません。失敗したら大火傷を負います。熟練した技術と労力が必要なため、今ではほとんど使われなくなりました。
作業を行った職人さんたちに感謝。
中央区在勤で「リベットマニア」を自称している方を私は一人知っています。皆さんもミクロな視点で橋を愛でてみませんか?