江戸講談発祥の地、薬研堀で辻講釈と張扇供養。
12月28日に東日本橋の薬研堀不動院にて辻講釈と張扇供養が行われます。
1年の納めの儀ということで、講釈師の面々の講談とお焚き上げを行います。
今でいう路上ライブの辻講釈
(使用写真は2018年と2021年のものです)
講談は、原型は奈良平安の御代にさかのぼるともされますが、一般には「太平記読み」がはじめとされています。江戸時代まで「講釈」明治以降「講談」と呼ばれるようになったそうです。江戸講釈は、元禄期、赤松清左衛門が浅草見附辺の町辻で太平記を講じたことがはじまりとされます。これが「太平記講釈場」となり、安政期に「太平記場起原之碑」が建てられて薬研堀不動院境内に移されたことから、薬研堀不動近辺が江戸講釈発祥の地となっています。
初期は今の路上ライブみたいに街角で講釈していたんですね。この形の辻講釈が不動院前の路上で行われます。何人かの講釈師が一席20分程度入れ替わりで講釈します。以前は講釈師も観客も立ちっぱなしで行っていましたが、近ごろは講釈師の高座と観客席には椅子が用意されています。「高座」は落語でも使いますが、元々は講談が発祥です。神君徳川家康の講釈を庶民と同じ高さで談じるのは恐れ多いとして、高い所から話すのを奉行所に願い許されたことからこの名が来ているそうです。今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」は神格化された家康の実像、というのが一つのモチーフでしたが、講談も神格化に一役買ったということでしょうかね。なんといっても「講釈師、見てきたような嘘をつき」ですから。因みに湯島天神には「講談高座発祥の地」碑というのがあります。
張扇をお焚き上げ、来年のお願い事も一緒に。
辻講釈を終えると、すっかり日の暮れた中、講釈師の面々が一年間使い込んだ張扇(はりおうぎ)などを、感謝を込めてお焚き上げします。張扇は調子を取ったりするのに釈台をパパンッと叩くやつですね。あれ、自分で手作りするそうです。また一般の参加者には扇型の紙が配られ、願い事を書いてお焚き上げをしてもらえます。
年の終わりにちょっと伝統話芸に触れるのも良いかと思います。なおすべて屋外で寒いです。暖かくしてお出で下さい。
◎辻講釈 16時頃より薬研堀不動院境内にて辻講釈
◎張扇供養 辻講釈に引き続き17時30分より18時頃まで