読んでから観る京極歌舞伎第一弾「狐花ー葉不見冥府路行」ー八月納涼歌舞伎
「読んでから見るか、見てから読むか」というコピーが席巻した70年代後半から80年代を懐かしく思いだした。今回の京極夏彦が初めて手がけた歌舞伎原作、奇しくも版元もKADOKAWAです。横溝正史・森村誠一・赤川次郎原作の「犬神家の一族」「人間の証明」「セーラー服と機関銃」を角川が映画化そしてその宣伝で「森村誠一フェア」「横溝正史フェア」などを仕掛け、書店には角川文庫が平積みになっていました。
という訳で活字好きの私としては勿論「読んでから観る」発売と同時に入手。いつもの京極堂「巷説百物語」シリーズと違って半分くらいの厚さでちょっと拍子抜け。ただこれなら初めて京極夏彦作品を手に取りそのボリュームに逃げ腰になった方もすんなり読了可能かと。配役が既に発表されていましたので、俳優さんのお顔を思い浮かべ歌舞伎の舞台を想像しながら読み進めるのはとても愉しい時間でした。
さて、実際の舞台です。外は今日も最高気温36度。八月は三部制で三部の開演は18時15分なので幾分か暑さも落ち着いているはずなのですが、早く着きすぎたため開場までの10分の長いこと。
満席の客席です。「原作読んだ?」「京極夏彦って読んだことない」など開演前の客席のさんざめきはとても楽しい。
序幕は物語の発端となる「神職を生業とする信田家に何者かが押し込み一家を惨殺、妻の美冬が攫われる。」ところから。「それから25年後作事奉行・上月監物の屋敷の奥女中・お葉は度々現われる男に恐れおののき死病に憑かれたように伏せっていました。彼岸花を深紅に染め付けた着物をまとい身も凍るほどに美しい顔のその男・萩之介は「この世にいるはずのない男」でした。監物と家臣の的場佐平治はこの騒動と自分たちの過去の悪行との関わりを疑い。。」(パンフより)
そして数々の怪異を解き明かすべく憑きもの落としを行う武蔵晴明神社の宮司・中禅寺州齋が招かれ解決して行きます。結果明らかになっていく妖しくも悲しい美しい物語。ミステリーなので荒筋はここまで。あとはご覧になってのお楽しみ。
「巷説百物語」でおなじみの中禅寺秋彦の祖父という設定の州齋に幸四郎さん、謎の男・萩之介に七之助、悪逆非道の上月監物に勘九郎さんが扮します。
八月納涼歌舞伎は25日千穐楽(19日休演)
一部 11時開演「ゆうれい貸屋」「鵜の殿様」
二部 14時30分開演「髪結新三」「艶紅曙接拙」(いろもみじつぎきのふつつか)
第三部 18時15分開演「狐花ー葉不見冥府路行」(はもみずにあのよのみちゆき)
お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489(10時~17時)チケットWEB松竹まで