小猿

五感であじわう日本の美術ー三井記念美術館ー

国宝6点を含む日本の優れた美術品を収蔵している「三井記念美術館」、今回の展覧会は「五感であじわう日本の美術」と題して9月1日まで開催されています。

この展示は写真撮影が許可されていて、ぜひご紹介したくなりました。

見てあじわう美

見てあじわう美 五感であじわう日本の美術ー三井記念美術館ー

入口を入ってまず見えるのは美味しそうな果物や野菜、安藤緑山の作品です。明治時代から昭和初期にかけて活躍した彫刻家で、象牙に彫刻し、彩色された仏手柑、枝柿、茄子が木や畑から収穫してそこに置かれたようです。苺は帯留めになってます。

伊勢海老自在置物は高瀬好山製で長いヒゲが今にも動き出しそうです。

 五感であじわう日本の美術ー三井記念美術館ー

交趾釉兎花唐草文饅頭蒸器 永楽保全作 江戸時代

底に穴が開いていて蒸気が入るようになっている蒸器です。江戸時代も饅頭は蒸して食べたのですね。

 五感であじわう日本の美術ー三井記念美術館ー

鶴亀絵平皿 円山応挙画・竹翁書 江戸時代

国宝「雪松図屏風」の作者円山応挙が絵付けをした平皿です。鶴と亀で縁起の良い長寿は昔からの願いなのですね。

香りをあじわう美

香りをあじわう美 五感であじわう日本の美術ー三井記念美術館ー

奈良・東大寺の正倉院に収蔵されている伝説の香木「蘭奢待」(らんじゃたい)です。聖武天皇によって命名されたと伝わります。一文字づつ「東・大・寺」が中に隠れています。元の香木は全長156cmで足利義政、織田信長、明治天皇が切り取った跡が残っているそうです。「天下統一の名香」といわれる恐れ多い香木はどんな香りがするのでしょう?

触った感覚を想像する

触った感覚を想像する 五感であじわう日本の美術ー三井記念美術館ー

左:伊賀耳付花入 銘業平 桃山時代

右上:青磁二見香炉・銀製二見ヶ浦夫婦岩火舎 火舎:中川浄益作 香炉:明時代 火舎:明治時代

右下:(重要文化財) 黒楽茶碗 銘雨雲 本阿弥光悦作 江戸時代

陶器の作品には人の手のぬくもりが感じられます。香炉の下の部分は明時代の青磁の器で香を焚くと上の夫婦岩の波のすき間から香りが出る銀製の器です。遠い昔に海を渡って日本で使われたのですね。

 

中央区に縁のある作者・作品をあじわう

中央区に縁のある作者・作品をあじわう 五感であじわう日本の美術ー三井記念美術館ー

墨河夕涼 鏑木清方作 昭和時代

2018年に発見された幻の美人画といわれていた「築地明石町」の作者です。「浜町河岸」「新富町」と共に三部作は中央区が舞台です。墨河とはどこの河でしょうか。夏の夕暮れに涼やかな女性です。

 五感であじわう日本の美術ー三井記念美術館ー

八幡太郎義家図 狩野美信筆 江戸時代

日本橋兜町にある兜神社の「兜石」に戦勝を祈願したと言われる源義家はこの方でしたか。絵になると歴史上の人も身近に感じますね。

 

美術館をあじわう

美術館をあじわう 五感であじわう日本の美術ー三井記念美術館ー

海辺群鶴図屏風 三井高福筆 明治18年

北三井家8代当主三井高福の作品です。諸芸に通じた文化人でもありました。

三井記念美術館は国の重要文化財三井本館の7階にあります。長い時間をかけて三井家が守って来た美術品が季節に合わせて間近で見られます。また、三井家の歴史や茶の湯のビデオも上映されていて、夏の終わりのひと時を涼しい美術館で過ごしませんか?

三井記念美術館 

中央区日本橋室町2‐1‐1三井本館7階 Tel. 050‐5541‐8600(ハローダイヤル)