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2024 郷愁を覚える "金木犀" の甘い香り

 2024 郷愁を覚える

 厳しい暑さが落ち着き、朝晩涼しさを感じ、秋の気配が徐々に深まる頃、ふわっと漂い始めるキンモクセイ(金木犀)の甘い香り。  10月19日、都心の最高気温は30.1℃を記録し、観測史上最も遅いかつ10月3回目の真夏日となり、何れも記録更新です。       今年も昨年同様、厳しい猛暑並びに残暑の影響もあってか、例年より遅く10月中旬に漸う咲き始め、秋の風物詩の芳香の便りが聞かれるようになりました。                     金木犀は中国原産のモクセイ科モクセイ属の常緑小低木で、銀木犀の変種と言われ、雌雄異株、日本には雄株しか存在しないと言われ結実せず、挿し木あるいは取り木で増やすと聞きます。      樹皮が犀の皮膚似の狭義の木犀を指す白花の "銀木犀" に対し、橙黄色の花を金色に見立てて "金木犀" と名付けたとされます。    早春の沈丁花、初夏の梔子と共に三大香木に数えられ、その香りで季節の移ろいを知らせてくれます。         通常9~10月頃、橙黄色の4深裂した花冠の小花が葉腋に密集して付き、香りを構成する成分のひとつとされるγデカラクトンは、桃を彷彿とさせる香りを放ち、遠くまで拡散することが知られています。  曇りや雨の前後は上昇気流が発生し難く、空気中の水蒸気も多く、香り成分が地上付近に留まり漂い、香りを感じ易く、風が穏やかだと更に長い時間持続すると言われています。             浜離宮恩賜庭園旧稲生神社裏手に植栽されている金木犀が、ふんわりと優しく、甘くて心地よい、どこか懐かしく切ない気持ちにさせる香りを漂わせています。