五月雨ジョージ

国土文化研究所 オープンセミナー

7月29日、日本橋浜町Fタワープラザにおいて、国土文化研究所のオープンセミナーが行われました。会場満員の120名に加え、地方のTV会議でつないだ40名が参加しました。

(株)建設技術研究所内の国土文化研究所では、毎年不定期で土木関連技術を中心に国土や人々の暮らしに関するオープンセミナーを開催しており、今回で第16回目を迎えています。

 国土文化研究所 オープンセミナー

今回のセミナーの講師は、文化庁文化資源活用課 文化財団調査官の北河大次郎氏でした。

『東京の都市デザインの軌跡』と題して、1940年幻の東京オリンピック、1964年の東京オリンピック開催を目標に、都市の近代化や道路交通網など様々なインフラ整備を行ってきた歴史を、当時の、そして現在の写真と資料を示しながら解説していただきました。

過去2回に共通しているのは、オリンピック開催を契機として、「近代化(国威発揚)」「テクノクラートによる国家運営及び都市整備」そして「先端技術による表現・実現」をコンセプトとして計画が進められていったということです。

残念ながら1940年大会は中止となりましたが、首都美化運動や第2京浜の立体交差(響橋)、港湾事業の一環としての埋め立て・勝鬨橋架橋などを実現できました。

1964年大会の開催が予定された時には、大会後を見据えた多摩ニュータウン整備や、戦前からの技術が開化して首都高建設などが本格化。また、戦前の軍用地や皇族資産はスポーツ施設やホテルに転用されていったのです。

1959年には、まるで大友克洋氏の漫画『AKIRA』を彷彿させるような、東京湾を中心とした「ネオ・トウキョウ・プラン」も計画されていたそうです(下図)。

 国土文化研究所 オープンセミナー

「ネオ・トウキョウ・プラン」の計画図面(資料提供:電力中央研究所)

 

1964年東京オリンピックをはじめ、その後のメキシコ、モスクワ、ソウルなど、いわゆるGDPが米国を大きく下回っていた国で行われた大会では、「国威発揚⇒発展」が一つの大きな目的となっていました。1984年のロスオリンピックからは「商業主義」も登場。そして2012年のロンドンでは初めて「レガシー(現在⇒未来への持続可能性)」コンセプトが打ち出されました。

では、気たる2020年の東京オリンピックではどうなるのか。

 成熟した都市の未来像を目標に、ハードとしての新技術の実現などに力がそそがれてきました。例えば、水素社会・空飛ぶクルマ・無電柱化、外環道整備(1964年からの課題)など。

 あと1年しかありませんが、オリンピック開催を機に、過去⇒現在⇒未来に向け、各地域の魅力を維持・継続しつつ、東京の豊かなレガシーを再認識し、世界へと発信していけるようなソフト面も充実したオリンピック大会になることを期待します。

『ドボ博』のご案内

『ドボ博』のご案内 国土文化研究所 オープンセミナー

2016年8月に土木学会は、オンライン土木博物館(通称:ドボ博)をオープンしました。

ドボ博は、地球全体を土木の博物館に見立て、独自の映像作品と土木図書館が所蔵するデジタルアーカイブなどを使って、土木の世界の魅力に迫っていきます。

キャッチフレーズ:「いつものまちが博物館になる」

 国土文化研究所 オープンセミナー

● 8月8日からは『川展』が始まります。

2分の予告動画が見られます。 ⇒https://vimeo.com/346653412

日本の美しい大地と川の映像に魅せられます。利根川水系のとあるダムのドローン映像もあります。

 

 

★今回も五月雨ジョージのブログをご覧いただき、ありがとうございました。