すべての道は日本橋に通ず 〜アジアハイウェイ〜
先日、福岡県福岡市の博多港から、韓国・釜山広域市の釜山港まで船で渡航する機会がありました。
その時に博多港で見かけたものが、写真の「AH1 - ASIAN HIGHWAY」の標識。
博多から釜山までの航路は、日本/東京を起点とし、アジアの各国を通過してトルコ/カプクレ(ヨーロッパのブルガリアとの国境にある町)まで至る「アジアハイウェイ1号線」の海上区間となっているそうです。
さて、このアジアハイウェイ1号線の起点は東京の中のどこにあるでしょうか?
アジアハイウェイ1号線の起点は日本橋!
…勘のいい方はお分かりかもしれませんね。
正解は、日本橋の直上を走る首都高速道路都心環状線がアジアハイウェイ1号線の起点になっています。
(なお、少し先の江戸橋出入口を起点とする資料もあり、厳密な起点は定められていないようです。日本橋付近であることには間違いありません。)
日本橋から都心環状線を西進し、首都高3号線、東名高速道路、名神高速道路、中国自動車道、山陽自動車道、九州自動車道などを経由して博多港まで至るルートになっています。
そして、先述の「AH1」の標識は、起点である日本橋の直上にも設置(各方向1枚ずつ)されています。
日本橋の上からも看板自体は見えるのですが、残念ながら裏側しか見えません・・・
地上から見える場所を探して…!
当然、自動車で首都高速道路を走れば「AH1」の標識を見ることができるのですが、
ペーパードライバーのワタクシにとっては首都高を走るのは至難の業…。
日本橋がアジアハイウェイの起点になっているという事実をアピールするためにも、地上の公共空間から標識のオモテ面が見える場所がないだろうか…?と、ここ1年くらい日本橋周辺を通るたびに探しているのですが、
先日、辛うじて見ることのできるポイントをようやく1つ見つけました!
江戸橋の南詰、日本橋ダイヤビルディング(旧・三菱倉庫江戸橋倉庫ビル)前の歩道から江戸橋出入口を見るようなアングルです。ここで、よくズームしていくと・・・
本当に”辛うじて”というレベルですが…、「日本橋 道路元標」の標識の下に、「AH1」の文字を見つけることができました。
ただし、標識までかなり距離があるので、肉眼で見るのは非常に厳しいです。肉眼でも見ることのできる場所を引き続き探していきたいと思います…!
五街道から日本の国道、そしてアジアの道路の起点へ…
日本橋の歴史を辿ると、1603年に架橋されたのち、1604年には五街道の起点と位置づけられ、1876年に当時の国道全ての起点になり、1972年に「日本国道路元標」が設置されたことで、日本の道路の起点として知られてきました。
そして、2005年にアジアハイウェイの協定が発効したことで、その意味合いはアジアの道路の起点へと拡大しています。
ちょっとひねくれた考え方ですが、景観上の”厄介者”として扱われてきた日本橋の上の首都高速道路は、ある意味では日本橋のアイデンティティを引き継いでいるのかもしれません。
日本橋の上の首都高は地下化・高架撤去に向けた検討が進んでいるので、「AH1」の標識を地上から確認する玄人な楽しみ方ができるのも、今のうちかもしれません!