弁松さん社長インタビュー① ~ 日本橋弁松総本店 ~
『ギフト、そして自分も楽しむ』をサイテーションして取材します、rosemary sea です。
中央区観光協会発行の「はじめて物語マップ」によりますと、“折詰料理専門店発祥のお店”としてご紹介されています日本橋弁松総本店さん。
創業嘉永3年(1850年)のこちらのお店をこれまで度々ご紹介させていただきました。
お店のご紹介 ⇒ 2月17日
歴史編 ⇒ 3月7日
日本橋の古い絵葉書編① ⇒ 3月11日
日本橋の古い絵葉書編② ⇒ 3月13日
今回は社長インタビュー、その前篇です。
日本橋弁松総本店 八代目 樋口純一さんにお世話になりました。
それではインタビュー、スタートです。
〇 日本橋弁松総本店さんは”折詰料理専門店発祥のお店”とのことですが。
1か月早く「弁当屋」として創業して、すぐつぶれちゃったお店があるかも知れませんけれど、今どこからも「うちの方が早い」というクレームが来ない。
ですので、弁当のみというお店は珍しかったんじゃないですか。
料亭さんがお弁当を片手間で作るというのはあったと思うのですが、弁当のみでは業態は小さいお店だったと思うんですね。うち以外も。
だから現代まで残っているのはなかなかなかったのかなっていう気はしています。
〇 現存するお弁当専門店さんとしては一番古い、ということでしょうか?
父の代の時にNHKさんが、お弁当特集の番組を作る、という取材に来たのですけれども、関東と関西を取材するということでした。
うちの父も、古いのは京都のかたと思っていたんです。弁当屋の、もっと古いお店もあるんじゃないか、と。
そうしましたら京都は料亭がメインで、弁当屋というのは下々のものなのかな、と。
〇 NHKさんの調査では一番古いお店は京都には、・・・
なかったんですよ。
昭和50何年の番組だったと思うのですが、うちが一応日本で一番古い、って。
それを根拠に(現存最古と)言っていたんですけれども。
果たして弁当屋の元祖だったかというと、何とも言えないグレーな部分と言いますか。
逆に(元祖を)教えてもらいたいぐらいなんです。喜んで2番になりたいです。(笑)
〇 創業されたのもここ日本橋ですか?
ここの場所は創業した時とほぼ変わらないはずなんです。
関東大震災と東京大空襲で2回更地になっていて、その時って多分、測量もしてなかったでしょうし。
(家族皆)幸い誰も死ななかったみたいなので。
逃げて戻ってきて、どうやら早い者勝ちだったみたいなので、多分それで広さだとか位置だとかずれていたりはしていると思いますが。
僕が生まれた時は、戦後に建てたお店というのがあって、2階建てで、店舗と厨房と、2階が自宅部分で。
祖母だけここに住んでいました。うちの家族にはここは狭くて、門前仲町にマンションを借りていました。
昭和50何年だったか、COREDO室町1・2の並びなんですけれども、地下1階・地上5階建てを建てて、みんな一緒に住むようになりました。
また30何年か経って、老朽化しましたので、僕の代になってまず工場だけ江東区の永代に移しました。
(創業の地は)社員用の駐車場になっていましたので、創業の地に戻って本店部分と自宅部分の建物を建てました。
完全に製造と本店を分けて。
〇 1階店内の看板はいつ頃のものですか?
看板は戦後のもの。
戦前であってもこんなもの持って逃げるはずもないので。
〇 七代目のお父さまが亡くなられた時に継がれた、とか。
20年以上前ですね。
父の兄、伯父が婿養子で新潟県の栃尾、今の長岡市に行って料亭、というか料理屋で社長をやっていたので、大学を出て2年間そこでお世話になって。
戻ってきて(弁松に)就職してしまうと、もう長期休みとか無理とわかっていたので、少し貯金もできたので、3か月くらい旅行に行ってから実家に就職しました。
だいたいうちは年末はいつもおせち料理ですごく忙しいのですけれども、それは中学生くらいから実家でバイトしていてわかっていました。
「暮れには帰ってこい」ということだったので、12月のクリスマス前に帰ってきました。
年明けに一応正社員になって入社したんですけれども、その年の6月に(父が)急死したので、(半年で)社長になってしまいました。
〇 弁松さんのお弁当の特徴は「濃ゆい味」ですね。1日どのくらい作られるのですか?
(味を)主に引き継いでいるのは職人たちです。工場はアルバイトも含め30人弱です。
(個数は)デパートに納品する分も含めて、ベースで1000個くらい。
それプラス、今日は某お寺から100個、とか、某大学から100個とか加算されて、1200個の日もあれば2000個の日もあれば、という感じです。
土日祝日の方がイベントが多いので、個数も増えます。
〇 一番人気の商品はどれですか?二番人気は?
一番人気は「並六(なみろく)」ですね。(上の画像)
二段になっています。これが赤飯になることもあります。料理だけもできます。
二番人気は「白詰め(しろづめ)」、一段です。
価格帯で千円前後というのが動くので。
他に三越さんとか髙島屋さんで販売している惣菜とか煮物。玉子焼だけを買うかたも多いですね。
パックになっているきんとんとか単品で。
〇 明治の元勲・西郷従道も弁松さんのお弁当を注文した、とか。
うちはそのことを全然知らなかったんです。
明治時代の偉人・有名人が利用して現代も残っているお店をいろいろ調べて書籍に書いたかたがいらっしゃって、そのライターさんがうちのことを調べてくれて。
裏はとった、ということらしいですけど。
・・・後編に続きます。
日本橋弁松総本店
日本橋室町1-10-7
東京メトロ半蔵門線・銀座線 三越前駅 より3分
03-3279-2361
営業時間 平日 9:30~15:00
土日祝 9:30~12:30
電話受付 平日 8:30~16:00
土日祝 8:30~13:00
日本橋弁松総本店さんのホームページはこちら