人形町駅から行ける、静かな佇まいの神社 ⑦
~ 兜神社 ~
『ギフト、そして自分も楽しむ』をナチュライズして取材します、rosemary sea です。
「人形町駅から行ける、静かな佇まいの神社」シリーズ、今回は第7回、兜(かぶと)神社をご紹介させていただきます。
それでは・・・
御由緒
御祭神
倉稲魂命(うかのみたまのみこと:商業の守護神)
合祀 大国主命(おおくにぬしのみこと:大黒様)・事代主命(ことしろぬしのみこと:恵比寿様)
1878年(明治11年)、ここ兜町に東京証券取引所の前身である「東京株式取引所」が設けられるにあたり、取引所関係者一同の信仰の象徴および鎮守として造営。
御神号は当時の太政大臣・三條實美公の揮毫。
(三条実美公:太政大臣在任期間 明治4年~明治18年)
御鎮斎後一度換地が行われたが、1927年(昭和2年)再度換地が行われ、兜橋のたもとの現在地に社殿造営の上、遷座。
1969年(昭和44年)高速道路建設に伴い、旧社殿を解体し、1971年(昭和46年)現在の鉄筋コンクリート・一間社流造(いっけんしゃながれづくり)・向拝(ごはい)付きの社殿を再造営。
屋根は銅版葺とし、玉垣・参道敷石などは御影石を用いた。
・・・と、要約すると書かれています。
沿革
1845年(弘化2年)版の「楓川鎧の渡古跡考」の地図に、牧野邸の東北隅の「鎧の渡」付近に「鎧稲荷(平将門を祀ったのが起源ともいわれています)」と「兜塚」が描かれており、この頃すでに当地の鎮守として、また、日本橋の魚河岸へ出入りする漁民の信仰の拠り所として存在していたようです。
1871年(明治4年)、東京商社(三井物産の前身にあたる商事会社)の移転に伴い、鎧稲荷と兜塚を、鎧の渡と兜橋の中間に遷座。
この際、兜塚として祀られていた源義家公の御神霊を「兜神社」として社を創建して祀り、更に兜稲荷と合併して新たに兜町の鎮守・兜神社として定められた、とのこと。
1874年(明治7年)、お祀りする祭神に変更があり、祭神源義家公の祭祀を廃止、新たに三井家(兜町1丁目の土地所有者)の信仰していた三囲(みめぐり)稲荷神社(墨田区向島)の境内摂社の福神社より大国主命と事代主命の御分霊を勧請して合祀。
創立とされる1878年(明治11年)からは東京株式取引所、とそれに続く東京証券取引所が氏子総代となり、以来証券界からの信仰を集めるようになりました。
・・・と、補足させていただきます。
【兜神社世話人会発行『商業の神様「兜神社」の由来』より】
なお、兜橋は現在は撤去されています。
下を流れる楓川が1965年(昭和40年)埋め立てされることになり、その計画上、海運橋とともに1962年(昭和37年)撤去となった次第です。
更に補足
近くの「鎧橋(よろいはし)」のたもとには「鎧の渡し跡」の説明板が設置されています。
「鎧の渡し」とは、源義家が鎧を投じた伝説が残る渡し場でした。
古くは1676年(延宝7年)の絵図にもその名が記されており、1872年(明治5年)に鎧橋が架けられるまで存続した渡し場です。
「江戸名所図絵」によりますと、平安時代、源義家が奥州攻めに向かう途中、ここで暴風雨にあったが、鎧一領を海中に投じて龍神に祈ったところ、無事に渡ることができた、という伝説が残っています。
【中央区観光協会「歩いてわかる 中央区ものしり百科」より】
兜岩(かぶといわ)
社の前左に「兜岩」があります。手前の石には「兜石」と書いてあります。
前出「商業の神様「兜神社」の由来には、「裏付けとなるものはありませんが・・・」とことわった上で、以下の3諸説が説明されています。
(1)
源義家が奥州より凱旋の際、東夷鎮定のため、兜を楓川のほとりに埋め、一塊の塚として、これを「兜塚」と言った。
(2)
前九年の役の頃、源義家が東征のみぎり岩に兜をかけて戦勝を祈願した。
このことからこの岩を「兜岩」と呼ぶようになった。
※ 「前九年の役」は1051年(永承6年)から1062年(康平5年)と云われています。
(3)
940年(天慶3年)俵藤太秀郷(藤原秀郷)が、平親王(平将門)の首を打って兜に添えてこの地まで持ってきたが、兜をここに埋めて塚とした。
それでここを「兜山」と言った。
※ 画像2つめの「説明板」では、(2)の説を紹介しています。
八幡太郎義家にまつわる神社は蔵前・浅草橋など各地にあるようです。
手水舎に描かれています「兜」のマークは、入り口の木戸にも示されています。
最初の画像をご覧になってください。
手入れがされているのが窺えます。
崇められているのですね。
「商業の神様」兜神社、高速道路のジャンクションがリボンのように架けられています。
兜神社
日本橋兜町1-12
人形町駅 A5出口を出て右へ。
400mちょっとで国道4号線の信号、左へ江戸橋を渡る。
日本橋郵便局の手前を左、150m左にあります。
実際は日本橋駅・茅場町駅からが至近です。
どちらの駅からも400mほどで行けます。
※ 隣りは旧渋沢栄一邸・日証館です。
更に150m進むと鎧の渡し跡・鎧橋のたもとに着きます。