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2020 秋風にそよぐススキ

 2020 秋風にそよぐススキ

 今年は暦の上で秋に入っても気温の高い日が続き、「アキアカネ初見」「モズ初鳴」などの「季節の便り」も遅れがちのようです。都内の「ススキ開花」も今年は9月14日と、平年より5日遅く、昨年より9日遅い発表となりました。因みにススキの開花とは、「葉鞘から抜き出た穂の数が穂が出ると予想される全体の20%に達した日」とされます。ススキは日本全国の野原に分布する多年生草本で、尾花の名もある秋の七草のひとつ。古くは万葉集にも詠まれ、源氏物語や枕草子にも登場し、日本画/蒔絵モチーフ、郷土玩具、茅葺屋根の材料にも用いられ、日本人の生活に密着した植物です。

月見のシーズンには、秋の収穫の感謝を込め、芋や豆などの収穫物と共に、本来は実りを象徴する稲穂を添えたいところですが、稲刈り前の時期であることから、穂の出たススキを稲穂に見立てて、花瓶に生けて供えたと伝わります。 古くからススキは、茎が中空のため、神様の宿り場、依り代と信じられ、また、ススキの鋭い切り口は、魔除けになるとも考えられたとされます。そのため、お月見のススキには、悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味も込められていると聞きます。地域によっては、軒先に吊ったりして、災いから田や家を守る風習が今でも残っているようです。

箱崎河岸緑道沿いに、永代橋を背景に、ススキが秋風にそよいでいます。