絵暦 大の月と小の月
書店を訪れると新しいカレンダーが、並んでいました。秋も深まり、徐々に年末の気配を感じられるようになってきましたね。
さて、日本で太陽暦が採用されたのは1872年(明治5年)のこと。当時の政府は「来る12月3日を新暦(太陽暦)の明治6年1月1日とする」と発表しました。
旧暦は、月の満ち欠けを基準にしていました。その周期はだいたい29.5日。ひと月が29日の月と、30日の月を組み合わせて1年の暦になります。
「閏月」という月を足して、その年を13ヶ月にすることで暦と季節のずれを調整していたのが太陰太陽暦です。
大の月:1,3,4,6,8,11
小の月:2,5,7,9,10,12
江戸時代、このひと月が30日の月を大の月、29日の月を小の月と呼び、月だけを記した大小暦は生活上欠かせないものでした。掛売りが多く、月末に支払があったので毎年、月の大小の並び方、あるいは閏月を知ることは人々にとって非常に重要なことでした。
大の月:2,4,8,10,11,12
小の月:1,3,5,6,7,9
絵や文章の中に大小の月を描き表した絵暦は、一見すると普通の絵に見えるけれど、実は実用的な暦でもあり、アイデアやユーモアのセンスを競い、江戸時代に大流行しました。
実用にはじまった大小暦は、デザインに独自性が表れ、次第に高尚な遊びとなりました。
◆国立国会図書館
(団十郎)文化14年丁丑(1817)大小暦
(うさぎの餅つき)慶応3年丁卯(1867)大小暦