再開発のため、移転しました
改めましてご紹介します
~ 凧の博物館 ~
『ギフト、そして自分も楽しむ』をサスティナビリティへの取組を絡めて取材します、rosemary sea です。
凧の博物館さん、前回取材させていただきましたのは2017年、つまり3年前のことでした。
記事のアップは2回に分けて、2017年10月10日と13日、日本香堂さんのお線香“青雲”のテレビCMで揚げた連凧(れんだこ)や、東京メトロさんの車内吊り広告となりました「茅場町編~凧の博物館~津軽凧と石原さとみさん」などをご紹介させていただきました。
凧の博物館さんはその頃はもちろん、日本橋1丁目のたいめいけんさんのビルの5階にありました。
「凧の博物館」につきまして・・・
おそらく“世界でただひとつの凧の博物館”。
日本橋の有名洋食店「たいめいけん」さんの初代・茂出木心護(もでぎ しんご)氏により昭和52年(1977年)にオープンされました。
初代は「日本凧の会」も立ち上げられました。
現在は二代目・雅章(まさあき)氏が館長で、テレビ等メディア露出の多い三代目・浩司(ひろし)氏も関わっておられます。
江戸凧から世界の凧まで、数多くの凧、および凧関連の資料を所有されたおり、その一部を展示されています。
創立よりずっと日本橋1-12-10のたいめいけんさんのビル5階で展示していらっしゃいました。
しかし茲許、日本橋1丁目再開発により、たいめいけんさんとともに一時移転を余儀なくされることとなりました。
そのため先月11月に、凧の博物館さんはここ日本橋室町1-8-3 室町NSビル2階にお引越しをされました。
再開発の工事が終了するまでの約5年間、こちらで仮住まいをされるそうです。
たいめいけんさん5階の頃と、展示の凧は様変わりしておりますが、これはこの新展示室があまりに明るく、紫外線が気になりますので、季節ごとに展示を入れ替えるなどの策を講じている最中、とのこと。
併せて、天井への展示などは今回控えていらっしゃるそうです。
ちなみにたいめいけんさんは、このビルの3軒先にて、来年3月に営業再開の予定です。
・・・それでは展示されています主な凧、凧資料をご案内させていただきます。
凧の博物館 福岡さんにお世話になりました。
『』内は福岡さんのご説明です。
「橋本禎造氏」・・・
大正・昭和期の江戸凧製作の職人(明治37年【1904年】ー平成3年【1991年】)。
台東区無形文化財(工芸技術)に、昭和63年度指定されました。
文頭の「義経八艘飛」の大凧も、橋本氏が描かれたものです。
江戸時代中期、京・大坂から江戸に伝わりました「凧」は、主に半円形・無地のものでした。
その後、江戸では浮世絵版画が流行、庶民の中から浮世絵の一枚絵を大空に揚げたい、という要望が出まして、角型の絵凧が発生したと云われています。
江戸末期には、武者絵や役者絵を描き、竹に細断ちの和紙を巻いた「巻骨」を裏に張った凧が、江戸独特の凧として定着しまして、現在まで受け継がれています。
橋本禎造氏の父・留吉氏は際物師(きわものし)、つまり伝統行事に販売する品物を作る職人で、鯉のぼりやうちわの他、凧も作っていました。
禎造氏は、その留吉氏のもとで13歳から本格的に凧作りをはじめまして、伝統的な技法で製作を続けてきました。
橋本氏の凧は主に角凧で、その工程は紙貼り→下図描き→色入れ→骨組み→糸付けの順でしたが、最も大事な作業は「凧絵描き」でした。
その特徴は、凧が大空に舞い上がった時、絵が鮮やかに見えるように顔を大きく中心にとり、鬢(びん)や髭(ひげ)を描いて勇ましく見せ、手や道具類などの細部はおおまかに描き、全体に明るい彩色とすることでした。
かつての江戸凧の職人さんは、下谷・浅草をはじめ各地におりましたが、台東区では橋本氏がその最後のおひとりでした。
台東区東上野2丁目には、上の画像右部にありますように、橋本禎造氏の記念碑が建てられています。
「ハタ」とは・・・
長崎では、凧のことを「ハタ」と呼びます。
『長崎の出島で、日本人とオランダ人が凧で戦っている屏風絵もあります。
けんか凧、糸の切り合いですね。』
長崎凧 大川内修(おおかわうち おさむ)氏製作
120種類にも及ぶ、長崎凧(ハタ)。
長崎のハタ店・小川ハタ店店主の小川暁博(おがわ あきひろ)氏が復元・製作しました長崎凧を、京都の大川内修氏がミニサイズに複製しました。
『(絵柄は)オランダ船、ポルトガル船などの、船の信号旗ではないかと云われています。』
名古屋古流凧 「蝉(せみ)」
名古屋の「華風凧工房(かふうたここうぼう)で製作された凧です。
『これは後ろ向きに飾らないといけない作品です。
原型は江戸時代の、尾張藩の頃から作られています。
強風用の凧です。風が強くないと揚がらないんです。
揚げるのがとても難しい凧なんですが、そこが凧揚げの方にはたまらないらしくて。』
マニア垂涎(すいぜん)の凧のようです。
ミニチュア凧
とても精巧にできています。
『昔は芸者さんのところへ行って、火鉢の上で揚げて遊んでいたらしいんですけど。
小さくても骨が入るというのが凄いですね。』
足も長くついています。
ミニチュア凧 いろいろ
大正~昭和初期の「凧絵」
のらくろや兵隊さん、鬼なども描かれているようです。
『これらは凧にはなっていません。
多分、凧にしてしまうと残っていなかったと思います。
昔は糊がお米ですからね、腐ってしまったり、ネズミにかじられたり。
だから古い凧って、ないんです。出てきても骨だけ、とか。
紙とかも、やはり、いくら強いと言っても何十年もさらしておけばだめになってしまいますから。』
紙質も良くない、接着剤もお米の粒の時代の凧、凧絵のままのものの方が、現存しているようです。
東京都交通局 都民の日記念 1日乗車券
昭和59年、都民の日を記念して、東京都交通局が発行しました1日乗車券。
描かれていますのは奴(やっこ)、奴凧です。
「武士の使用人である奴が、高い空から威張った姿で武士たちを見下ろしている様子に、江戸っ子たちは武家社会に対する鬱憤(うっぷん)を晴らしたのでしょう。江戸っ子の洒落と反骨精神が生んだ傑作ではないでしょうか。」と、説明文が入っていました。
この他、日本専売公社時代のタバコのパッケージが凧の絵柄になっているものや、アメリカ軍の通信用凧(ボックスカイト:行燈凧【あんどんだこ】)の説明などもございます。
・・・凧の様々な資料に触れ、凧の世界を堪能されてはいかがでしょう?
凧の博物館
日本橋室町1-8-3 室町NSビル2階
03-3275-2704
東京メトロ銀座線・半蔵門線 三越前駅 B6出口を出て後方へ 3軒めのビル2階
営業時間 11:00~17:00
休館日 日曜・祝祭日
入館料 大人220円 小・中学生 110円
凧の博物館さんを含む、たいめいけんさんのホームページはこちら
⇒ https://www.taimeiken.co.jp/