RIEdel

銀座四丁目動物園~交差点に住まう動物たち~

銀座のかおりを届ける雑誌「銀座百点」の12月号を読んでいたところ、「銀座のキツネ」というタイトルのエッセイが目に留まった。
筆者で動物学者の今泉忠明氏によると、銀座には昔、キツネがいたらしい。銀座の裏路地を歩けば江戸時代から大切にされてきた稲荷社を見つけることができるが、それはかつてキツネが棲息した証なのだそうだ。さすがに現在の銀座に生きたキツネはいないが、稲荷社のある場所にはたいていキツネ像が狛犬のように設置されていて、静かに神様の使いとしての務めを果たしている。

ところで動物の像といえば、キツネ以外にも銀座にはたくさんある。
そこで今回は、日本で最も地価の高い銀座四丁目交差点に住まうセレブ(?)な動物たちをご紹介したい。

銀座三越のライオン

銀座で動物の像といえば、銀座三越本店のライオン像が真っ先に思い浮かぶだろう。
昭和47年(1972)11月に三越創業300年の記念事業として日本橋本店のライオン像に倣って鋳造されたものだそうだ。

 銀座四丁目動物園~交差点に住まう動物たち~

交差点東の角に鎮座するライオン像は、現在、三越印の入った特製のマスクを装着中。
コロナ禍における正しい生活様式を、自ら手本となって私たちに示してくれている。

和光本館の蛇

交差点北の角に建つ和光本館には、どんな動物が棲んでいるのか。
和光本館の外壁には、メダイヨンと呼ばれる円形の装飾が6つ施されているが、そのうちの1つに2匹の蛇がデザインされている。

 銀座四丁目動物園~交差点に住まう動物たち~

このメダイヨンはギリシア神話の商業の守護神であるヘルメスが持つ杖をモチーフにしたものである。
日本でも、ヘビは脱皮を繰り返して成長していくことから「無限」や、春の訪れとともに地上に現れる習性から「再生」を象徴するものとなり、それが転じて無限の知恵や金運を生み出すと考えられてきた。
個人的に、にょろにょろと予測ができない動きをする本物の蛇は大の苦手だが、この場にとどまり、銀座に商業の発展や金運をもたらしてくれる蛇のレリーフなら大歓迎だ。

三愛ドリームセンターの縁結び猫

交差点西の角に建つ三愛ドリームセンター。ここには恋をサクセスさせる縁結びのネコ「コイコリン」がいる。メスには「のんき(写真左)」、オスには「ごろべえ(写真右)」という名前がついている。

 銀座四丁目動物園~交差点に住まう動物たち~

女性はオスのごろべえを、男性はメスののんきを願いを込めて撫でれば、恋が成就するという。
頭、顔、背中やお尻など、撫でる場所によって叶えられる願いが少しずつ違うそうだが、2匹を調べたところ一番撫でられていそうなのは、首輪の上部分だった。他の場所と比べると、そこだけ強い艶が見られるからだ。
残念ながら、首輪を撫でて得られるご利益の解説は見つけられなかったけれども。

 銀座四丁目動物園~交差点に住まう動物たち~

ちなみに、のんきは銀座中央通り沿いの花屋さんの脇に、ごろべえは晴海通り沿いのル・カフェドトール銀座店の脇にひっそりとたたずんでいる。成就させたい恋がある方は、是非探して、撫でてみてほしい。

 銀座四丁目動物園~交差点に住まう動物たち~

銀座プレイスに住まうのは…?

交差点南の角に建つのは、透かし彫りをモチーフにした外観が印象的な銀座プレイス。
この場所で明治44年に開店し、大繁盛した「カフェー・ライオン」にちなみ、ここにもライオン像がありはしないかと建物を外からじっくり眺めてみたものの、それらしいものは見つけられなかった。
銀座四丁目四つ角コンプリートならずか…。
内心残念に思いつつショーウィンドウの中に目をやると、そこにはかつて「羊の皮を被った狼」と呼ばれたクルマの最新モデルが展示されていたのだった。

アクセス情報:銀座四丁目交差点

アクセス情報:銀座四丁目交差点 銀座四丁目動物園~交差点に住まう動物たち~

■銀座三越(ライオン)
〒104-8212 東京都中央区銀座4-6-16
東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座駅」A7出口すぐ
■和光本館(蛇)
〒104-8105 東京都中央区銀座4-5-11
東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線「銀座駅」A10出口すぐ、B1出口直結
■三愛ドリームセンター(猫)
〒104-0061東京都中央区銀座5-7-2
東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線「銀座駅」A1・A2出口より徒歩2分

★写真は、銀座五丁目に住まう鳩とヤモリ★