八重洲一丁目北地区の今
~竹久夢二から日本橋西河岸地蔵寺教会まで~
こんにちは。アクティブ特派員のHanes(ハネス)です。
感染症の影響が和らぎ、週末は区外や都外で過ごすことが多くなってきました。
先日、偶然にも群馬県の「竹久夢二記念館」のそばを通る機会があり、八重洲にある「夢二・港屋ゆかりの地」のことをふと思い出しました。
そこで、久しぶりにその史跡を訪れてみると、いつの間にか工事囲いがされており、「八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業に伴う躯体解体工事」の真っ最中でした!
江戸時代から続く変わらないものがある一方で、中央区は日々変化し続けています。
そして、お目当ての史跡も工事囲いの中にあり、しばらくはお預けになりそうです。
再開発に係る案内板を見てみると、「日限延命地蔵尊(ひぎりえんめいじぞうそん)」もこの再開発で影響を受けるようです。
この地蔵尊は、泉鏡花の『日本橋』にゆかりのある日本橋西河岸地蔵寺教会に祀られており、詳しくは「春に読みたい!『春』と『中央区』がキーワードの小説3選」を参照いただければと思います。
以下の3枚の写真は、2023年6月11日の現場の様子です。
気になる日本橋西河岸地蔵寺協会ですが、2022年12月に案内があったように、2028年の再開発建物の竣工まで一時閉鎖されています。
地蔵寺の再開まであと4年以上。それまでに中央区はどのような街になっているのでしょうか。
遠き未来に思いを馳せながら、再開を楽しみに待ちたいと思います。
※本記事の情報は、2023年5月28日および6月11日時点のものです。
余談
群馬県の「竹久夢二記念館」の近くに「徳富蘆花記念文学館」があります。
徳富蘆花は熊本県出身であることから、中央区との関係はなさそうに思えます。
しかし、東京に住居を構えていたころ、奥さんの愛子夫人が有馬小学校で教師をしていたことがあるのです!
徳富蘇峰の六女で徳富蘆花の幼女となっていた故・矢野鶴子さんへのインタビューをまとめた「矢野鶴子さんに聞く : 蘆花夫妻の思い出」の94ページには興味深い記述があります。
「愛子・叔母はその年の二月、女子高等師範を卒業し、日本橋の有馬小学校に奉仕しておりましたの。余談ですが、その当時、有馬小学校の三年生に谷崎潤一郎と安田靫彦(日本画家・文化勲章受章)が生徒だったんですのよ。叔母は担任ではなかったようですが・・・。」
外出を機に、思いがけず中央区に関する知識を深めることができました。
谷崎潤一郎生誕の地については、「春に読みたい!『春』と『中央区』がキーワードの小説3選」でご紹介しています。ご興味のある方は合わせてご覧ください。
【参考資料】
渡辺勲,伊藤彌彦「矢野鶴子さんに聞く : 蘆花夫妻の思い出」,同志社大学同志社社史資料センター『同志社談叢』,pp. 80-140,2011.
http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000013057(2023年6月11日閲覧)