ちょっと気になる「交番」の建物@銀座
警視庁のHPによると、1874(明治7年)の警視庁創立当時、「交番所」が初めて設けられました。当初は施設を伴うものではなく、警察官が警察署から徒歩でパトロールを行い、交替で立番する場所として指定された地点だったそうです。その後「交番所」に建物が建てられ、現在は「交番」と呼ばれています。
日本の治安がよい理由のひとつとして、地域に根付いたシステム「交番」の存在が挙げられており、海外でも高い評価を受けているようです。シンガポール警察は幹部候補生を日本に派遣し、警視庁築地警察署数寄屋橋交番で体験させるなど、積極的に「交番」を輸入しました。その他、米国やブラジル、インドネシアなども「交番」を輸入しています。
今回のブログ記事では、シンガポール警察の幹部候補生が実地研修した数寄屋橋交番をはじめ、ちょっと気になる銀座の「交番」の建物をご紹介します。
待ち針がオブジェ 数寄屋橋交番
数寄屋橋交番の建物は1982(昭和57)年竣工。京都(地下鉄「丸太町駅」近く)の「顔の家」などの作品で知られる山下和正さんによる設計で、いわゆる「デザイン交番」の先駆けです。
屋根の天辺に付けられた待ち針のようなオブジェは、設計案のプレゼンテーション時に屋根の飾りが付くことを示すため仮に刺した待ち針のことが警視庁内でうまく伝わらなかったため、作者の意図に反してそのまま採用、竣工されたといわれています。ちなみに待ち針の球体の部分には、オブジェのデザインとして複数の線が入っています。
街並みに溶け込む 銀座四丁目交番
銀座四丁目交番の建物は1989(平成元)年竣工。所在地は銀座五丁目ですが、交差点の名前から銀座四丁目交番といわれています。限られたスペースを活用した細長く特徴的なデザイン。全面鏡張りとすることで、銀座の街並みにうまく溶け込んでいると思います。
親柱がモチーフ 銀座一丁目交番
銀座一丁目交番の建物は1984(昭和59)年竣工。古い洋館風の煉瓦造りで、明治・大正時代の銀座煉瓦街の趣があります。特徴的な屋根のデザインは、道路を挟んだ向かい側に保存されている大正時代の京橋のガス灯付き親柱がモチーフになっていると思われます。
突き抜ける円柱 銀座八丁目交番
銀座八丁目交番の建物は1994(平成6)年竣工。1階上部から3階に突き抜ける円柱のデザインが興味深いところです。
銀座の「交番」の建物は、それぞれ個性的ですね。