しばしばしばた

銀座を取り囲むジャンクションたち ― 汐留JCT・西銀座JCT・京橋JCT

1年前の記事で、中央区は日本で一番ジャンクションが多い市区町村だ!ということを書きました。
そのとき、区内でも特に有名なジャンクションである江戸橋JCT箱崎JCTをご紹介しましたが、
今日は、1年越しの続編として、銀座の街を取り囲む3つのジャンクションをお見せしたいと思います。

1つ目は…汐留ジャンクションです。
中央区と港区の境目にあるこのジャンクションでは、首都高速都心環状線(C1)から八重洲線(Y)の南側区間が分岐します。
南側から進入すると、浜離宮恩賜庭園の真横の直線区間を使って都心環状線は東銀座方面に向かって地下に潜っていきます。一方で、八重洲線は西向きにカーブして、そのまま高架で東京高速道路に接続しています。
出入口や料金所も重なって重層的な構造になっている汐留JCTは、ジャンクションなのに直線!というのが最大の見どころです。
かつては、この写真のように浜松町駅前にあった「世界貿易センタービルディング」の展望室から汐留JCTの姿がきれいに見えたのですが、現在、同ビルは再開発のため解体中…。建て替え後のビルにも展望室が設けられることを期待したいと思います。

真下には店舗が!西銀座ジャンクション

真下には店舗が!西銀座ジャンクション 銀座を取り囲むジャンクションたち ― 汐留JCT・西銀座JCT・京橋JCT

続いてご紹介するのは、西銀座ジャンクションです。
西銀座JCTは中央区と千代田区の境目にあり、東京高速道路から首都高速八重洲線(Y)の北側区間が分岐します。
こちらのジャンクションも、八重洲線が高架から地下まで一気に潜っていき、東京高速道路は大きなカーブを描いて京橋方面に向かいます。

西銀座ジャンクションの最大の特徴は、下が商業施設「銀座インズ」東京高速道路の事務所などのビルになっていることです。八重洲線が地下に潜っていく中でだんだん天井高が低くなっていくようなスペースも、余すところなく店舗として活用されています。東京メトロ銀座一丁目駅の出口もあったりしますね。
銀座インズなど高架下を使った商業施設のテナント料が建設費や維持管理費に充てられているため、東京高速道路(白魚橋~西銀座~汐留)の通行料金はタダになっています。今でこそ当たり前のPFI事業の先駆けになるような、画期的な仕組みです。

そんな西銀座ジャンクションは、東急プラザ銀座の屋上「キリコテラス」からその姿をよく見ることができます。

なかなか全容が見えない!京橋ジャンクション

なかなか全容が見えない!京橋ジャンクション 銀座を取り囲むジャンクションたち ― 汐留JCT・西銀座JCT・京橋JCT

今日、最後にご紹介するのは京橋ジャンクションです。
京橋JCTは全体が中央区内にあります。首都高速都心環状線(C1)から支線が分岐するジャンクションです。この支線は、すぐに東京高速道路に接続し、西銀座方面に向かいます。

ところで、首都高速道路の路線の中には、1号羽田線、2号目黒線、3号渋谷線…と、1号から11号までの連番が振られた路線がありますが、このうち「8号」だけは欠番となっています。
じつは、京橋JCTで分岐する都心環状線の支線が、法令上の「都道首都高速8号線」にあたるのですが、
京橋JCTから白魚橋中継所までの僅かな区間しかないため、8号線ではなく、都心環状線の支線として案内されています。

そんなヒミツも抱えている京橋JCTの見どころは、楓川の川底のレベルから東京高速道路の高架のレベルまで、高さが変わっていく部分です。特に久安橋から見るのがオススメです。江戸の水運を支えた川の跡を活用しながら、限られた空間で高速道路が構築され、車による物流・人流へとシフトしていったことがよく分かります。

銀座を囲む3つのジャンクションのゆくえは…?

銀座を囲む3つのジャンクションのゆくえは…? 銀座を取り囲むジャンクションたち ― 汐留JCT・西銀座JCT・京橋JCT

さて、今日は銀座の街を取り囲むように位置している3つのジャンクションをご紹介しました。
(地図は、国土地理院「地理院地図」より「標準地図」を加工して作成)

しかし、この「銀座を囲む」高速道路である東京高速道路は、2030年代以降に高速道路としては廃止することが決まっています。跡地は、構造物を生かして、歩行者が歩いて移動できる回廊として整備される構想になっています。
東京高速道路が廃止されると、今日ご紹介した3つのジャンクションも役割が変わる、または役割を終えることになると予想され、今から先の十数年間で大きな変化を迎えることになります。
もしかしたら西銀座ジャンクションだった部分を歩いて移動できる日が来るかも…?というマニアックな期待を抱きつつ、東京高速道路と銀座の街の変化を見守っていきたいと思います。皆様もご注目ください!