三月歌舞伎 初日 第二部
初日、第二部を観ました。歌舞伎三大名作の一つ『仮名手本忠臣蔵 十段目 天川屋義平内の場』は討入りを直前に控えた赤穂浪士を支えた廻船問屋の主人・天川屋義平を主人公にした物語。
『新古演劇十種の内 身替座禅』は狂言の大曲をもとにした、夫婦のやり取りがユーモア溢れる舞踊劇。
仮名手本忠臣蔵 十段目 天川義平内の場
『仮名手本忠臣蔵』は十一段構成。文楽にて初演、のち歌舞伎として今日まで人気を誇る作品です。
江戸時代の「赤穂事件」を題材とするのは幕府の取り締まりに当たるので、時代を室町時代に設定し登場人物の名前、場所等も変えて創作されています。史実や、仇討ちを追うのではなく、人間ドラマ溢れる「物語」として描かれています。
町人の身でありながら、赤穂義士の討ち入りを蔭ながら支えた人物・天川屋義平の厚い信義に胸が熱くなります。
由良助は、義平が武士も及ばぬような人物であると感心し、討入りの際は一般的な山・河の合言葉に変えて天川屋の「天・川」を合言葉にすると約束します。
十段目 天川屋のあらすじ
堺の豪商、天川屋義平は、浪士たちのために武具を調達していました。
捕手がなだれ込んできて、大星由良助に頼まれて武具等を調達した罪で召し捕らえよという命令だ、と取り巻き。捕手たちは、武具を入れた長持ち(箱)を持ち込んで、白状せよと迫ります。
義平は、脅されても動じずに秘密を守り、顔色を変えず長持ちの上に座り、息子の由松の首に刀を突きつけられても、白を切って少しの覚えもない、知らないものを知っているとは言えない、と言い張り、「天川屋の義平は男でござる。」の名ぜりふで啖呵を切ります。