ちょっと気になるビル@骨董通り
昨年3年ぶりに開催された「東京アートアンティーク」が、今年も「骨董通り」で4月27日(木)から4月29日(土)にかけて開催されました。普段は中に入るのに気後れしてしまう「骨董通り」の美術店・画廊ですが、期間中はいろいろな催しがあったのですこし気軽に立ち寄ってアートとアンティークに触れることできました。いまから来年が楽しみです。
日本橋・京橋の東仲通りが「骨董通り」と呼ばれるようになった由来は諸説あるそうで、「骨董通りマップ(戸田建設株式会社発行。HPからダウンロード可)」にそのひとつが紹介されています。
https://www.toda.co.jp/pickups/pdf/kotto_map.pdf
・・・ 明治、大正、昭和初期の老舗の旦那衆が日本橋の「壺中居」あたりで車を降り、芸者衆を連れて料亭を訪ねる途中に高価な古美術を手に取りさりげなく買い求め、最後に京橋の「繭山龍泉堂」前で待たせた車に乗って帰る。そんな粋な街歩きをしていた彼らが愛称としてこの通りを「骨董通り」と言っていた。・・・
上記の由来にある「骨董通り」の起点「壺中居」と終点「繭山龍泉堂」のビルはともに、東畑謙三氏が設計したものです。
屋根、窓、バルコニー「壺中居」
竣工1973年。屋根の上部が緩い勾配、下部が急な勾配となっている、いわゆるマンサード屋根が特徴。屋根の存在感が大きく、全体的に重厚な印象です。窓のデザインが階によって異なり、動きも感じられます。また、2階角のバルコニーがさりげなくお洒落です。
「壺中居」のHP https://kochukyo.jp/
「骨董通り」の一角には、「壺中居」の近現代部門として独立した店舗「ギャラリーこちゅうきょ」が入居する「箔屋町ビル(東京都中央区日本橋3-6-9)」もあります。竣工1987年。設計は所有者でもあった廣田豊氏。角地に建つ小ぶりなテナントビルでありながら、コンクリート打放し面や出隅の処理、開口部のデザインなど、各所に品の良いこだわりが伺えます。
「ギャラリーこちゅうきょ」のHP https://www.kochukyo.co.jp/gallery-kochukyo.html
壁、空間、額縁「繭山龍泉堂」
竣工1960年。国登録有形文化財(建造物)。外壁正面の三方が壁で囲まれ、奥行と空間を演出。通りに面した北面と東面に銘石といわれる由良石(香川県高松市の由良山で採掘された安山岩)が額縁のように配され、壁面は弁柄(防虫、防腐、防錆効果が期待される酸化鉄)入りの黒漆喰で仕上げられています。東畑謙三氏自身が、古美術の額縁をなすものとして設計した、という趣旨を述べているそうです(1960年発行『国際建築』第27巻・第12号)。
「繭山龍泉堂」のHP https://www.mayuyama.jp/
「骨董通り」にお出かけの際は、古美術だけでなく、建物も楽しんでいただければと思います。