2023 陽光降り注ぐ「紫蘭」の群生
浅緑色の若葉の香を漂わせて吹く風は心地よく、晴れ渡った空の下、新緑が目に沁みる5月を迎えました。 この季節、草木の緑が匂ってくる風情を「風薫る」、その風を「薫風」、草木を吹き抜ける風は「緑風」と名付けられ、緑は徐々に深みを増し、濃淡さまざまなグラデーションを見せます。 「五月晴れ」とは、もともと陰暦5月の五月雨(梅雨)の晴れ間を表現したようですが、新しい暦の中で、今日、5月の晴れ渡った空を指すようになったとされます。 隅田川中央大橋下流左岸沿いの親水空間の隅田川テラスを擁する佃公園では、群生する紫蘭(シラン)が咲き揃っています。 シランはラン科の多年草。ラン科の中では珍しく半日陰から日向まで適応し、鉢植え、露地植え双方が楽しめ、比較的丈夫で育て易い品種とされ、入門用ランとしても親しまれています。 春先、基部の卵形状の「偽球茎(バルブ)」と呼ばれる水分や養分の貯蔵組織から、披針形の葉を伸ばし、GW前後に、花茎の先に、径約3cmの紅紫色の花を、俯き加減に数輪付けます。 6枚の花弁(3外花被片 3内花被片)の内、内花被片は側花弁と特徴的な形状の唇弁(リップ)で構成されます。種からも増やし易いため、新種の交配育種も盛んで、色変わり、変化花も多く作出されています。