笑う門には福きたる~令和初笑いはお江戸日本橋亭で~(前編)
こんにちは。おめでたいこと・ありがたいことが大好きな特派員RIEdelです。
皆さん、最近笑ってますか?「笑う門には福きたる」「笑いは百薬の長」「一笑一若(ひとつ笑えば、ひとつ若返る)」などの諺にもあるとおり、笑いは心のビタミン剤。決して欠かしてはいけませぬ。というわけで、最近不足気味だった笑い成分を補うべく、今回は中央区が誇る演芸場「お江戸日本橋亭」にて落語を楽しんでまいりました!
ドキドキの開演前。木戸を抜けると、そこには大入りの客席が!
今回伺ったのは、お江戸日本橋亭で月2~3回開催されている「お江戸寄席」です。午後1時30分開演だというのに、表のベンチには1時間以上前からお客様の姿が…。さすがお江戸日本橋亭さんの看板企画。楽しみにしているお客様が多いんですね。
開演30分前になると、入り口のガラス戸が大きくひらきました。靴を脱いでスリッパに履き替え、木戸で入場料を払います。入場料は当日2,000円、前売り1,500円。電話予約だけで前売り価格になるから、前売りが絶対お得!です。
中に入ってみると、90席以上ある席の8割ほどが既に埋まっていました。常連さんが多いのでしょうか。自由席なので、まずは空いていた最後列に座らせていただきました。席に落ち着くと急に喉の渇きを覚えてペットボトルのお茶を飲みたくなったのですが、(こういうところって飲んでも大丈夫なのかな…)と、やや不安な気持ちに。あたりをキョロキョロ見回すと、ビール片手に新聞を読んでいる方を発見。それを見て、私もお茶をそっと一口。しばらくするとお江戸日本橋亭のスタッフさんがゴミ袋片手に空のペットボトルや缶の回収にいらっしゃいました。なんだ、飲食は禁止じゃなかったのね、と一安心。
落語に講談に漫談。プロの話芸に魅せられっぱなしの2時間半
開演時間数分前からお囃子の音がなりはじめ、ホールの扉が閉じられました。
1時半きっかりに幕が開き、本日のトップバッター、柳亭楽ぼうさんが登場。柳亭楽輔さんの四番弟子で、ハリのあるやや低めの声でマクラから流れるように「子ほめ」の噺へ。なんとかタダ酒を飲ませてもらおうと、ご隠居さんにうまいこと褒めろと知恵を授けてもらうも、ちっとも応用が利かず失敗ばかりする熊八さんが、ちょっと哀れに思えたり、でも愛らしく思えたり。小さなクスクス笑いが客席のあちこちで起こります。
お次も落語で、二ツ目の春風亭昇吉さんが登場。噺は生真面目な男性が主人公の新作落語。ちょっとエッチなサービスを提供するお店の宣伝ティッシュをもらったイナバさん、愛する奥さんがいる自宅にはもって帰れないと、なんとか処分しようとするものの何度も邪魔されちゃうお話で、イナバさんの焦る描写が真に迫っていて思わず笑ってしまいます。最後の方では、この噺どうなっちゃうんだろう?とちょっと心配になりましたが、そこはやはりプロ。下げもお見事でした。さすが東大出身の落語家。
つづいては、神田こなぎさんによる講談「曲馬団の女」。蘭というサーカス出身の詐欺師の女が、戦死した若い男性と夫婦約束を交わしたと偽り、香典を盗みに入るものの、紆余曲折の末、本当にその家の嫁になったというお話。戦後の実話をもとにした講談だそうです。こなぎさん演じるお蘭の声がなんとも艶っぽく素敵でした。
仲入り前の最後は、再び落語で橘家竹蔵さんが登場。高座に上がるなり、会場からは「たっぷり!」の掛け声が。一瞬、体型のことなのかな?と失礼なことを思ったのですが(汗)、実は「その名人芸、たっぷりやってくださいね」という意味だそう。竹蔵さんがこの日たっぷり聞かせてくれたのが「船徳(ふなとく)」。親に勘当された若旦那徳兵衛が、居候している船宿で船頭になりたがるお話ですが、力のない若旦那がうっかり船頭デビューしてしまい、ふーふー言いながら船を操船するところは、見ているこちらまで体に力が入ってしまいます。
10分の仲入りをはさんで始まったのが、はやのこのみさんによる風呂敷漫談。日常から災害時までさまざまな場面で活用できる風呂敷の使い方を紹介した後、紅白の大判風呂敷を使って、花嫁の綿帽子、ナースキャップ、バスガイドの帽子、ねじり鉢巻き、まちこ巻き、ボーイスカウト、骨折してる人(三角巾)などなど、色んな形を一瞬でつくりだす芸を披露。風呂敷を2枚使ってリュックを作る方法は、覚えておくといざという時、役に立ちそうです。
そしてこの日のトリを飾ったのは、三遊亭好楽師匠の「親子酒」。酒好きの親子が、酒を断つと約束するも、互いに目を盗んで酒を飲み、最後は親子げんかになる噺。べろべろに酔った親父が「こんなに顔が七つ八つもある化け物には身上を譲れねぇ」と言えば、息子は息子で「あたしだって、こんなぐるぐる回る家を貰ったってしょうがねぇ」と返すサゲはご存知の方も多いでしょう。
実は、仲入りの間に一番前に席を移動させていただいたのですが、好楽師匠の落語を聞いている間、(あれはナイスな判断だったな~)と、内心自分で自分をほめていました(笑)。お江戸日本橋亭は演者さんと客席が近く、好楽師匠演じる酒好き親父が、一滴の酒も逃さないよう愛おしそうに酒を呑む手つきや表情が、もうほんの2~3メートルぐらいの距離から見られるんです。あの名人芸をこの距離で堪能できる演芸場は、他にはなかなかないんじゃないでしょうか。
今回、私がお邪魔した「お江戸寄席」は、落語芸術協会・圓楽一門・立川流、講談協会・日本講談協会、東京演芸協会など、所属団体が異なる演者さんが出演する「各派合同寄席」です。伝統芸能好きな方にはもちろん、落語や講談を聴くのは初めてという方にもおすすめのプログラムです。令和の初笑いを体験しに、皆さんもお江戸日本橋亭に行ってみてはいかがでしょうか。
アクセス情報:お江戸日本橋亭
■お江戸日本橋亭
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〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3-1-6 日本橋永谷ビル1階
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