いのちゃん

【ニューヨク・タイムズ】 東京銭湯で湯めぐりをしよう

入浴施設は紀元前から人々に親しまれてきた癒しと健康のレジャースポット。大都会で毎日を忙しく過ごしているみなさんにも、たまには大きな浴槽で体をのばしてゆっくりとお風呂に入ってほしい。そんな思いで中央区の入浴に関する情報をお届けするニューヨク・タイムズは不定期発行のおふろ新聞です。

 

今はなき銭湯の思い出

今はなき銭湯の思い出 【ニューヨク・タイムズ】 東京銭湯で湯めぐりをしよう

浜町エリアのランドマーク、トルナーレ日本橋浜町
エリアの再開発にともない、2005年に完成したオフィス、レジデンス、ショッピングの複合施設です。地域住民の方々におなじみの浜町マルシェや盆踊り大会など、広場では季節ごとにさまざまなイベントが開催され、たくさんの人が集まる空間となっています。

 

再開発される前、この一角には松乃湯という銭湯がありました。
昔ながらの番台銭湯でしたが、その外観は東京の銭湯に多い宮造りとは違ったアール・デコ風で、清洲橋通りに面していたため、通りの向こうからもよく見え、とても印象に残っています。ちょうど今の浜町交番があるあたりでした。

 

 【ニューヨク・タイムズ】 東京銭湯で湯めぐりをしよう

 

今や地域の顔となり、空高くそびえるトルナーレの姿を目にするたびに、かつて訪れた銭湯を思い出し、人知れずノスタルジックな気分になってしまうのは、うまく言い表すことのできない自分だけの心もようです。

 

 【ニューヨク・タイムズ】 東京銭湯で湯めぐりをしよう

消えゆく東京銭湯

現在、東京都にある銭湯は約500軒。そのほとんどが都区部(23区)に集中しています。浜町の松乃湯が看板を下ろした頃は都内に1,000軒を超える銭湯がありました。

東京都の浴場組合のホームページには廃業リストの掲載があり、時折更新されると、そこには見覚えのある屋号がいくつも書き加えられています。銭湯の数は減っていく一方で、そのペースはおよそ10日に1軒。今ある銭湯は「残っている」と表現するのが実状に近いのではないでしょうか。

もし、みなさんに行ってみたい銭湯があるなら、今すぐタオルを持って出かけることをおすすめします。「あの風呂屋にも行っておけばよかった」と悔やんだことが私には何度もあるのです。

※ここでいう銭湯とは東京都公衆浴場業生活衛生同業組合(略称:東京都浴場組合)加盟の公衆浴場のことです。

されども楽しい銭湯めぐり

惜しんでばかりもいられません。今も東京には500軒もの銭湯があるのですから、湯めぐりを愉しむには十分ではありませんか。つかることのできなかった湯への思いは、今ある銭湯をできるだけまわってみようという原動力にもなっています。近年はリニューアルしてとても粋に生まれ変わるところもあり、ひさしぶりに再訪するのもまたうれしいものです。

23区のうち、銭湯が最も残っているのは大田区。黒湯の温泉という売りもあり、羽田空港を擁する大田区銭湯では訪日外国人に向けたPRにも力を入れています。次いで足立葛飾江戸川区というイーストサイド。東東京(East Tokyo)出身の自分にとって、いまひとつ攻め切れていないのが杉並練馬板橋区。このあたりにも比較的多く残っているので、今後訪れるのが楽しみです。

 

 【ニューヨク・タイムズ】 東京銭湯で湯めぐりをしよう

 

これらの区は地図を見れば一目瞭然、外周ぐるりです。面積も大きく、人口も多いので、銭湯の軒数が比例するのは当たり前のことかもしれません。そのうえ、こうした地域では一軒家の露天風呂といった土地を贅沢に使った広々とした銭湯に出会えます。

対して銭湯が少ない地域は言わずもがなですが、千代田中央区

中央区銭湯は全部で9軒。数こそ多くはないものの、ビル銭湯マンション銭湯レトロ銭湯軟水銭湯ランナーズ銭湯デザイナーズ銭湯と、現代の銭湯を知るには申し分のないラインナップです。

そして中央区銭湯の特徴として特筆すべき点は、江戸時代から続いている銭湯があり、なおかつ21世紀に誕生した銭湯があること。リニューアルオープンする銭湯はあっても、新規開業することはまずないという現代の東京銭湯の流れのなか、最も軒数が少ない地域のひとつである中央区に2014年に新しい銭湯が誕生しています。これはもう奇跡と呼んでよいでしょう。

その“奇跡の銭湯”については次号のニューヨク・タイムズでくわしくお伝えします。

 

中央区内の銭湯一覧はこちら
中央浴場組合公式サイト ふれあいの湯 http://www.268chuou.com/

 

※当記事は米国の高級日刊紙とは何ら関係ありません。