サム

2025 五月の風物詩 薫風に舞う鯉のぼり

 2025 五月の風物詩 薫風に舞う鯉のぼり

 風薫る季節、若葉の香を漂わせて吹く風が爽やかです。     五月晴れに鯉のぼりが靡く景観は近年都心では見る機会が少なくなりましたが、「端午の節句」を象徴する五月の風物詩です。    節句は古代中国の陰陽五行説由来の、季節の変わり目に邪気を払い健康を祈願する年中行事の風習が日本に伝えられたとされ、「端午」とは、元々月の初めの午の日の意ですが、午は五に通じ、5月5日が「端午の節句」の節日として定着したと伝わります。       昔から薬草として用いられ、病気や災厄を払うとされた菖蒲を、男性は冠に女性は髪に付けたり(菖蒲鬘)、枕の下に敷いたり(菖蒲枕)、軒下に飾ったり(軒菖蒲)、菖蒲湯に浸かったり、蓬とともに球状に編んだ「薬玉」を飾ったりと、邪気払いの呪い(マジナイ)としました。  武家政権が誕生すると菖蒲は武道や武勇を重んじる尚武に通じるという事で、武家の習いやしきたりが反映され、男子の誕生や成長を祝う行事へと変容し、戦陣に使われた幟や旗指物を立てたのが鯉のぼりの起源とされます。                      江戸時代、武家に倣い、庶民の間に武者人形や、登竜門の故事から鯉を象った "幟" (形状は筒状の "吹き流し") を飾り立てる風習が広まったとされます。中国に「黄河の上流にある龍門という滝を昇りきった鯉は、龍になり、天に昇ることができる」との伝説があり、龍は皇帝のシンボル、「鯉の滝昇り」は立身出世の象徴と伝わり、男児の将来を予祝するとの願いが込められています。            色とりどりにツツジが咲く佃公園の "吹き抜けの生け簀" を風を孕み鯉のぼりが悠々と泳いでいます。