玉三郎初登場の「八月納涼歌舞伎」開幕―歌舞伎座
101回目の熱闘甲子園。こちら東京・歌舞伎座では涼しい中で楽しめるお芝居上演中。
八月の歌舞伎座は三部制興行で1部は七之助さんが初役で演じる政岡が話題の「伽羅先代萩」、2部はもはや八月納涼歌舞伎お馴染となった幸四郎さんと猿之助さんのコンビの「東海道中膝栗毛」、そして3部が納涼歌舞伎初登場の玉三郎さんの「新版雪之丞変化」です。「どれも外せない!」と思わせる松竹さんのこの構成の上手さ、唸るばかりです。見事策略に乗せられ、初日に3部、続いて2部を見ましたので合わせてその面白さの一端をご報告。
3部の「新版雪之丞変化」はこれまで何度も映画化・舞台化されてきた作品ですが、今回は玉三郎さんがストーリー構成、演出を見直した「新版」。何と幕が開くと映画の字幕で出演者の名前が!(松竹マークは出ませんよ)そうなのです。映像とのコラボ、複雑なストーリーは映像でテンポよく説明、雪之丞が演じた舞台も。劇中劇での「先代萩」の政岡は玉三郎さんで、八汐が七之助さんと1部と比べてみても面白いという作りになっています。
2部の歌舞伎座夏の風物詩となった感のある「弥次喜多」も4回目。今年はどんな趣向で楽しませてくれるのかワクワクです。真っ暗な舞台が開くとスクリーンでは「故弥次郎兵衛故喜多八」の在りし日の姿が映し出されています。ラスベガスに飛ばされたり、歌舞伎座殺人事件に遭遇したり、昨年の地獄めぐりまで、二人が目覚めるとそこは一面のひまわり畑。ご丁寧に「太陽がいっぱい」のテーマまで流れています。客席は一気に舞台に引き込まれます。「何だ!夢だったのか!またまた懲りない二人のお伊勢さんを目指す珍道中が始まります。それにしても4年前には子役だった染五郎さんと団子さんの大きくなったこと、ほとんど叔父さん、お父さんと同じ背丈になりました。テンポのよい舞台転換にあっという間の2時間40分ですが、ほとんど出ずっぱりで早替わりの幸四郎さんと猿之助さんはどんなにお疲れのことかと思います。今回もまた花火に打ち上げられて飛んで行ってしまいました。
1部は来週見るのですが、これだけ楽しめるとお財布が軽くなるのは仕方がないかと思わせてくれる掛け値なしに面白く肩の凝らない舞台です。
八月納涼歌舞伎は27日まで
お問い合わせはチケットホン松竹0570ー000ー489(10時―18時)