Hanes

500年以上前の「知られざる科学技術者」をより身近に!
~「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展@JTEKT ROOM Ginza~


こんにちは。アクティブ特派員のHanes(ハネス)です。
パリのルーブル美術館での展示会をはじめ、レオナルド・ダ・ヴィンチ没後500年を記念した様々なイベントが行われた2019年も、残すところあと1週間となりました。
そのような記念すべき年に、彼が残した手稿をもとに科学者としての側面を知ることのできる展示会が銀座で開催されていることはご存知でしたか?
今回その展示会のために向かった先は、以前何度かご紹介してきたぐんま総合情報センター ぐんまちゃん家(過去記事 )の東に位置するJTEKT ROOM Ginza(ジェイテクトルーム銀座)さんです。

こちらはステアリングシステム、軸受、駆動部品、工作機械、電子制御機器等の製造・販売を行う株式会社 ジェイテクトさんのショールームで、過去・現在・未来とジェイテクトさんの歴史をつなぐ場ともなっています。
ここでは1988年に世界で初めて開発したという電動パワーステアリングシステム(EPS)の便利さを実際に体験したり、その他の製品について知ることができます。

 500年以上前の「知られざる科学技術者」をより身近に!~「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展@JTEKT ROOM Ginza~


電動パワーステアリングとは、ハンドル操作に必要な力を電動で補助し、操舵力を軽くしてくれるものです。
開発の背景には、女性や高齢者間での自動車の普及があり、実際にシミュレーションでこの補助があるのとないのとを試すと、便利さと軽さは手に取るようにわかります。

一見ダヴィンチとの関係性が見えてこないこの自動車の進化にも、実は彼の手稿に遺されたものがヒントになっていたのです!

知れば知るほど面白い!今に生きるダヴィンチからのヒント

冒頭でもふれた通り、今回の展示では、彼が67歳の人生の中で絵画以外に最も熱心に取り組んだ科学技術の問題をテーマにしています。
その研究目的は、自然の力(火力・水力・風力)、人間の筋力、機械・工具類の力を組み合わせることで、人々の生活を豊かにし、その水準を向上させることでした。
『モナ・リザ』や『最後の晩餐』を描いた画家としてのイメージが強いため、少々意外に思うかもしれませんね。

今回の企画展では、彼が遺した膨大な研究ノート「レオナルドの手稿」(ファクシミリ版)の一部とその再現模型が展示されています。
会場では小学生のお子様から大人の方まで楽しめるダ・ヴィンチの秘密をクイズで探る『ダ・ヴィンチノート』がいただけるので、私もクイズに挑戦しながら会場内を見て回りました♪

 500年以上前の「知られざる科学技術者」をより身近に!~「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展@JTEKT ROOM Ginza~


15点ほどの展示物の中には、現代でも使用されていることから馴染みのあるジャッキのほか、揚水力間歇運動装置(回転装置が次々と上下運動を引き起こす装置)、遊星歯車(後に天文時計に使用)、空圧ねじ(スクリュー型のプロペラ)、計算機の原理の模型等、予想以上に現代の生活に通じるものが多く見られます。

その中でも特に面白かったのは、こちらの「自動回転肉焼き機」
歯車を巧みに利用し、煙突の途中に設けられた羽根で熱を伝え、肉を回転させ、まんべんなく肉が焼けるように設計されています。
ダ・ヴィンチは、「火が強ければ羽根は早く回転するので、肉は決してこげない」と考えたのだとか。
実際にこの機械で肉を焼いて食べてみたいと思いながら再現模型を見て楽しみました(笑)

 500年以上前の「知られざる科学技術者」をより身近に!~「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展@JTEKT ROOM Ginza~


そして、500年以上前に彼によって考案された印刷機のスケッチと再現も展示されています。
1850年代に英国で製造された重厚感のある立派な印刷機*とは異なりシンプルに見えますが、そこには科学者ならではの発想が隠れています。
*詳細は、先輩特派員 佃のうさこさんの記事「ミズノプリンティングミュージアムでの感動体験!」をご覧ください。

 500年以上前の「知られざる科学技術者」をより身近に!~「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展@JTEKT ROOM Ginza~


今回紹介されている「レオナルドの手稿」には、科学技術天文学解剖学都市計画地質学植物学音楽芸術論、そして個人的なメモまで広範囲で緻密な内容が含まれています。
1872年からは、国家的事業としてファクシミリ版(復刻版)が限定数制作されました。
そのオリジナルは、「アトランティコ手稿」(ミラノ)、「パリ手稿」(パリ)、「ウィンザー紙葉」(ウィンザー)、「マドリッド手稿」(マドリッド)等の名称で知られ、各国の諸機関で大事に保管されています。

しかし、ダ・ヴィンチほどに有名になると、その所有者の中にも有名な方が!
こちらの「レスター手稿(旧ハマー手稿)」と呼ばれ、主に水の動きに関する考察や天体に関する研究が記されているものは、1994年にあのビル・ゲイツ氏がオークションで購入。
今ではゲイツ夫妻が原本を所蔵しているのです。

 500年以上前の「知られざる科学技術者」をより身近に!~「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展@JTEKT ROOM Ginza~


ここまで簡単にご紹介してきたように興味深い数々の研究がある中、摩擦の研究から考案し、図面で残した「ボールベアリング」について少し詳しく見てみましょう。
そもそもボールベアリングとは、物を動かす力に対して働く摩擦力を減少させるための軸受のこと。
中にボールやころを入れることで、小さな力でなめらかに物を動かすことができます。

 500年以上前の「知られざる科学技術者」をより身近に!~「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展@JTEKT ROOM Ginza~


今回はその原型ともいわれるダ・ヴィンチのスケッチとその再現を間近で見て、現在実際に使用されているものを手に取ってその仕組みを知ることができます。

そんな「ボールベアリング」が、実はとても身近なところで私たちの生活を便利に、そして快適にしてくれているということはご存知でしたか?

 500年以上前の「知られざる科学技術者」をより身近に!~「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展@JTEKT ROOM Ginza~


現代では、自動車自転車スケートボード航空機新幹線風力発電ミシン等、回転機能を有するものに広く活用されています。
このように、私たちの日常生活を便利にする手助けをしてくれている縁の下の力持ち ボールベアリングが、江戸幕府誕生よりさらに約100年前に考案されていたなんて信じられますか?
私はにわかに信じられませんでした!

そして、現代におけるその研究・開発の先駆者となったのがまさに株式会社 ジェイテクトさんなのです!
現在は世界29ヶ国150拠点でダ・ヴィンチの発明に端を発する科学技術の進歩をもとに、新技術の開発を通して社会発展に貢献しています。

 500年以上前の「知られざる科学技術者」をより身近に!~「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展@JTEKT ROOM Ginza~


自動車のどの部分にベアリングが使用されているかは、ぜひ展示会場でご覧ください。

前述した「レオナルドの手稿」ですが、記載されている内容は言うまでもなく、実はその記入の仕方にも特徴がありました。
それは、左手を用いて書かれた左右が反転された鏡像文字であるということです。
画家として、そして科学者として現代の人々をも魅了する彼には、いったいどのような意図があったのでしょうか。
自動車や風力発電等、思いの外身近に彼のアイディアが生きていると知ることができた一方、新たに生まれた謎が彼に対する興味を高めてくれます♪
科学技術者としてのダヴィンチを知ると、絵画の見方もまた変わるかもしれませんね^^

 500年以上前の「知られざる科学技術者」をより身近に!~「レオナルド・ダ・ヴィンチ」展@JTEKT ROOM Ginza~


そしてギャラリーアテンダントの方のお話によると、通常は主に男性が訪れる場所でしたが、この展示会が始まってから女性が増えたとのこと。
展覧会を見に行くまで、恥ずかしながら「ベアリング」という言葉すら知らなかった典型的な文系の私でも、抵抗なく入ることのできるウェルカムな雰囲気は嬉しかったです♪
貴重な機会ですので、ダ・ヴィンチや500年以上を経て現代に生きる科学技術のロマンに興味のある女性の方にもぜひ訪れていただきたいです!

現在、展示場には現在クリスマスツリーが飾られています。
外からも見ることができるので、お近くにお越しの際は足を止めてオーナメントにも注目してみてください。
株式会社 ジェイテクトさんならではのユニークなものが飾られていることに気づくはずです^^

最後になりますが、取材や会場内での写真撮影をご快諾くださいました広報のご担当者様、ご協力いただきありがとうございました。

展示会のご案内

レオナルド・ダ・ヴィンチ展
会場:JTEKT ROOM Ginza(東京都中央区銀座7丁目11番15号 東京ジェイテクトビル1F)
会期:2019年10月28日(月)~2020年1月31日(金)
開館時間:10:00~17:30
休館日 土曜・日曜・年末年始等(詳しくは下記ウェブサイトにてご確認ください。)
入場料:無料
電話番号:03-3571-6212
公式ウェブサイト:http://www.jtektroom.com/