【番外編】 旅先で見つけた中央区 in 台湾(カフェの巻)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的な広がりを見せています。国内ではその対策として、大勢の人が集まるレジャー施設やイベントは休園、中止または延期するなどの対応がとられており、中央区のホームページにもイベント等の実施についての考え方がまとめられています。
個人的に参加を予定していた身近な催しも例外ではなく、楽しみにしていた分、残念ではありますが、今は自分にできる範囲で感染拡大の防止に努めたいと思います(※)。※首相官邸ホームページです。
週末は家でコーヒーを飲みながら、昨年の台湾旅行をふり返ってみました。
世界中がコーヒーブーム
2019年6月、コーヒーブームに沸く台北でひと際クールなカフェを訪れました。
VWI by CHADWANG。CHAD WANGとはチャド・ワンさんという台湾人のオーナーの方のお名前です。台湾での表記は王策さん。
そのVWI by CHADWANGにあったのがこちらです。
コーヒードリッパーのHARIO V60。中央区のプロダクトです。
世界中のバリスタに愛用されているのですから、今やどこで見かけても珍しいことではないはずですが、やはり異国で見つけるとうれしいものですね。
HARIO V60についてのアーカイブはこちら
https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/archive/2018/04/post-5136.html
ワールドブリュワーズカップ(WBrC)
コーヒーの世界には腕利きのバリスタがその技を競ういくつかのコンペティションがあります。ワールドブリュワーズカップもそのひとつで、年に一度、参加各国から選ばれた代表が集結する国際大会です。この大会では、機械的動力を用いないドリップやプレスなどの手動のデバイスを競技者自身が選択し、抽出技術を競います。
2016年のダブリン大会では日本人の粕谷哲さんがアジア勢で初めてチャンピオンに輝くという快挙を成し遂げました。そのときに粕谷哲さんが使用したドリッパーがHARIO V60です。のちにHARIOの製品に粕谷バリスタ監修シリーズ「粕谷モデル」が登場して人気となっているので、ご存じの方も多いかもしれません。
チャド・ワンさんはこのワールドブリュワーズカップの2017年ブダペスト大会のチャンピオンです。実は粕谷哲さんが優勝した2016年、チャド・ワンさんは予選を最高得点で通過し、ファイナリストとして同じステージにいました。ダブリンでの惜敗を経験したチャド・ワンさんは努力を重ね、翌年、念願のチャンピオンの座を見事手に入れたのです。当時の大会ホームページには、チャド・ワンさんが揺るぎない自信を持ってブダペストに臨んだことがわかるコメントが綴られていました。そして、チャド・ワンさんもまたHARIO V60のユーザーなのです。
VWI by CHADWANG
世界一の称号を得たチャド・ワンさんが満を持して2018年に開いたのがカフェVWI by CHADWANGでした。
台北の銀座とも呼ばれる頂好(ちょうこう/ディンハオ)エリアの北側、復興南路一段にあります。大型ショッピングセンター・微風廣場(Breeze Center)の向かいあたりと言って場所がわかる方はきっと台湾通ですね。
VWI by CHADWANGには目立つ看板こそありませんが、お客さんがひっきりなしに来店していました。
台湾からの帰りに乗った飛行機の機内誌でも、チャド・ワンさんがメッセージを寄せているページを偶然目にしました。漢字で“男神”(憧れの男性)と表現されるチャド・ワンさんの存在は、現代の台湾の若者のカルチャーアイコンとなっています。
輝く二色(ふたいろ)のWBrCトロフィー。チャド・ワンさんとVWI by CHADWANGの原点です。
フードにもトライしたかったのですが、台湾滞在中は常に満腹状態という宿命のため断念しました。
この日はV60で淹れたドリップコーヒー(トップ画像)とカフェラテをいただきました。心が穏やかになるような、やわらかな一杯でした。
ところで、VWI by CHADWANGの “VWI” にはどのような意味があるのでしょうか。
答えは水です。
Vapor(霧・蒸気) Water(水) Ice(氷)
それぞれの文字は水の形態をあらわしていました。
一杯のコーヒーの大部分を占めるのは水。
コーヒーを淹れるための大切な要素である水に敬意を込めたチャド・ワンさんならではの発想です。
店内にはワークショップが行われるスペースも。
シンプルでスタイリッシュ。隅々までオーナーであるチャド・ワンさんのセンスが行き届いた空間です。
V60というプロダクトを通して、またひとつ素敵なお店とそのストーリーに出会いました。
これからもHARIO V60に注目していきたいと思います。
中央区にやってきた台湾カルチャーの発信地
中央区で台湾といえば、2019年9月、コレド室町テラスのオープンとともに誕生した「誠品生活日本橋(せいひんせいかつ にほんばし/ eslite spectrum nihonbashi)」。中華文化圏外で初めて東京・日本橋に出店したことも話題になりました。台湾料理のレストランや台湾茶、伝統菓子のショップがフロアに並び、中央区にいながら台湾文化を感じられる新しいスポットです。
誠品(eslite)は1989年に台北で書店からスタートしたブランドで、ライフスタイル全般を扱う複合型のセレクトショップです。“台北の銀座” 頂好にある誠品敦南店は、誠品の初号店であり、書店として世界初の24時間営業をしたことでも知られています。眠らない街・台北のカルチャーを象徴するワンシーンとなっていましたが、入居物件の建て替えにともない、2020年5月をもって閉店することが伝えられています。移転先はどこになるのでしょうか。
こちらは台北・信義区の誠品生活松菸店。工場跡地をリノベーションして再生した松山文化創意園区(通称・松山文創園区)にあります。誠品生活もさることながら、園区内はどこを切り取っても絵になるような洗練された場面の連続でした。台湾全土、ホットなサイトの中心にいつも誠品があります。
ふらっと立ち寄った台北駅の地下街にある誠品站前店(台北車站K區地下街)では、カフェを特集した本が平積みされており、台湾におけるコーヒーブームへの関心の高さを物語っていました。中には日本のカフェを紹介しているものもありました。東京、そして中央区のカフェめぐりをしたいと思っている方が台湾にもたくさんいるはずです。世界を自由に旅することができる日が一日も早く戻ってきますように。そんなことを考えながら、コーヒーを飲み終えました。